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2024.05.30

ケアスタッフより、家族介護者の方へのメッセージ~第20回~

高齢のご家族が感情的になりやすく、コミュニケーションに困っているという方もいるのではないでしょうか?

すぐに怒る高齢者と一緒に暮らすことを、苦痛に思ってしまうこともあるかもしれません。

しかし高齢者が感情的になるのには、必ず理由があると思います。その理由を想像しながら、適切な対応をしていくことで解決につながることもあります。

本コラムでは経験豊富なSOMPOケアのスタッフが、過去に関わった高齢者のエピソードとそこから学んだコミュニケーション術をご紹介していますので、ぜひご覧ください


目次
  ・今回のテーマ「高齢者が自分を受け入れてくれないとき」
  ・初訪問日に突然物を投げられる
  ・話してみてわかったRさんの戸惑い
  ・ケアスタッフからのアドバイス

執筆者画像
SOMPOケア 栃木吹上 訪問介護 管理者 神谷由己子さん
福祉系の専門学校を卒業した後、病院にて看護助手として3年程勤務。その後、訪問介護スタッフとして本人がご家族に寄り添いながらお仕事を続けられています。座右の銘は、「自分の当たり前は他の人にとって当たり前ではない」ということ。多様な価値観を受け入れるスタイルでいるだけでなく、ご自身の明るく優しい性格を活かし、高齢者の話しやすい雰囲気づくりもできる、魅力的な訪問介護スタッフさんです。

今回のテーマ「高齢者が自分を受け入れてくれないとき」


高齢者が感情的になって怒っているとき、その表情に萎縮し、自分の意見が言えなくなってしまうこともあるでしょう。また、怒られたことに対し、ショックや怒りなど、マイナスの感情がこみ上げてしまうこともあるかもしれません。


しかし、こういったときには感情的に言い返すのではなく、一旦落ち着いて話を聞くということが大切です。そこからお互いの気持ちを分かり合えることもあるからです。

今回は、最初は感情的になっていた高齢者が、話をゆっくりと聞いていくことで、落ち着きを取り戻し、そこから信頼関係の構築につながり、本人の希望するサービス利用ができるようになったという、神谷さんのエピソードを紹介していきます。



初訪問日に突然物を投げられる

今回のお話は、70代男性Rさんのお話です。


Rさんは、私が訪問介護スタッフになったばかりの頃に出会った方でした。

認知症などの疾患は特になく、お元気でしっかりとされていたため、ケア内容としては自立支援などではなく、買い物代行やお掃除などのお手伝いが主でした。

しかし依頼を受け、最初に自宅に訪問したときに、Rさんは私を見るなり近くにあったファイルを投げつけてきたのです!これには私もその場で固まってしまいました。


固まってしまって最初は何も言えなかったのですが、「このままではいけない」と思い、私自身が一旦落ち着くように意識しました。私が落ち着いていないのに、怒っている相手に冷静になってもらうことはできないと思ったからです。


その後も取り乱したように怒り続けるRさんを見て、「もしかしたら、ここまで怒るのには、なにか深い理由があるのかもしれない」と感じました。そして、自分の気持ちが整ったところで「どうしたのですか?何かあったのですか?」とRさんに聞いてみることにしました。


話してみてわかったRさんの戸惑い

冷静に話を聞こうとする私を見て、Rさんの怒りが少しずつ落ち着いていくのがわかりました。Rさんは、少しずつ自分の気持ちを話しだしてくれたのです。


Rさんの話によると、介護保険制度が開始される前は、市の委託で社会福祉協議会の方が主に訪問介護サービスを対応されていたようでした。それが介護保険制度開始後、急に民間の訪問介護スタッフが来るようになったことに混乱していたようです。


他にも、カーテンを外して事業所で洗ってくるなど、介護保険では対象外のサービスにも社会福祉協議会は対応しており、それができなくなったことにも納得していなかったようでした。


冷静に話を聞いた後は、「あなたが悪いわけではなかったんだよ。ごめんね」とRさんが謝罪をしてくれました。この一件から自分の希望をまっすぐに伝えられるようになったため、Rさんは気持ちを取り乱すことがなくなりました。


高齢者が怒っているときには、「本当に伝えたいことが何かあるのかもしれない」という視点を持って接することが大切、と学んだ事例でした。お互いの事を分かり合うためには、まずは冷静に相手の話をじっくりと聞くことがとても大切だと思います。


ケアスタッフからのアドバイス

今回の事例は、ケアスタッフである私と利用者さんのお話でしたが、ご家族と高齢者の間でもやり取りがうまくいかず、どちらかが感情的になってしまうこともあるのではないでしょうか?


実際に「怒りやすい高齢者にどう対応したらいいかわからない」という相談は、よく受けることがあります。高齢者が感情的になり、怒りをぶつけてきたときに、よくある対応は以下の2つです。

① 怒っている高齢者のことが怖くなり萎縮してしまう

② こちら側も感情的になり、口論になってしまう


私達も人間なので、怒りをぶつけられたら良い気分はしないものだと思います。ときには、言い返したくなってしまうこともあるかもしれません。しかし、こういったときの対処法としては、冷静になるのが最善です。


「簡単に言うけど、実際には無理。その場になったらどうしても感情的になってしまう」という方も中にはいるかもしれません。そのような場合には、冷静になるために深呼吸する時間を「3秒」とることをおすすめします。怒りの感情が鎮めるために3秒程待ち、さらに深呼吸すると、冷静になれることが多いため、ぜひ騙されたと思って実践してみてください。


冷静になった後は、高齢者の本当の気持ちに意識を向けていくことが大切だと思います。

高齢者が怒る理由で、よくあるケースの一つに「コミュニケーションの行き違い」というものがあります。


自分としては説明して伝えたはずだったけど、案外本人には伝わらずよくわかっていないということはよくあります。そのため混乱して怒ってしまうのです。こういったことが発端でのトラブルは、在宅介護をされている方からもよく聞きます。高齢者によっては、内容がよくわかっていない段階で相槌だけ打ってしまうこともあるからです。


相槌をうっていたからと、高齢者の反応を鵜呑みにして話を進めていった結果、後になって「私は何も聞いていなかった!」と怒ってしまうケースもよくあります。

高齢者に自分は説明したつもりでも、実際にはそれがうまく伝わっていないのに話だけを進めてしまうと、高齢者は自分の気持ちや希望が取り残された感覚になってしまいます。


そういった場合には、時間をかけて高齢者の希望を引き出していくことが大切です。

「何に不満を持ち、どんな選択をしたいのか」を丁寧に聞き出すことで、本人が本当に求めていたサービスや環境に近づくかもしれません。


また、高齢者が怒り出したときには、まずは、落ち着いて話を聞くことで、認識の相違に気づくことができるでしょう。相手が怒っていても、その空気に流されることなく、毅然とした態度でいることも大事です。誠意を持って接していれば、分かり合えるときが来るかもしれません。


それでも高齢者との関わりで悩んでしまった場合には、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に相談してみることをおすすめします。一人で抱え込まず、協力者や相談できる相手をうまく巻き込みながら、適切な対処法を探していきましょう。



取材/SOMPO笑顔倶楽部  文/中村亜美

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