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2023.11.16

記憶力を上げる方法とは? 低下の原因や効果的なトレーニング法を紹介

記憶力とは、私たちが日常の中で何気なく活用している力ですが、私たちの学びや経験を形成する基盤となっています。その仕組みやトレーニング法を知ることで、日常生活や仕事に大きく役立ちます。本記事では、記憶力の概要やトレーニング法、記憶がいい人と悪い人の違いなどを解説します。


目次
・記憶力とは
・記憶力が低下する原因とは?
・記憶力がいい人と悪い人の違い
・自分に合った方法が見つかる、記憶力を上げる方法
・まとめ

執筆者画像
東京都健康長寿医療センター 岩田淳 医師
東京大学医学部附属病院神経内科の専門外来「メモリークリニック」にてアルツハイマー病(AD)やレビー小体病、前頭側頭葉型萎縮症等の疾患の診断、治療に当たっていた。特に超早期段階でのAD、レビー小体病の診断、新薬の開発が専門。2020年4月より東京都健康長寿医療センターの脳神経内科部長として赴任。

記憶力とは

記憶力は、私たちが物事を覚えておくために必要な能力です。そもそも、記憶は、脳が情報を受け取る“記銘”、その情報をしばらくの間覚えておく“保持”、後で情報を思い出す“想起”の一連の流れを指します。この一連の流れにおいて、記銘している情報量の多さ、保持できる期間の長さ、想起の速さを相称して記憶力と呼んでいます。

記憶の流れ

記憶の流れを表した図

記銘

人が取り入れた新しい情報は、脳に送られます。脳はその情報を変換し、個々の経験や知識と結びつけて記憶を形成します。


保持

記銘された情報が、記憶として保たれることを保持といいます。


想起

脳に記憶された情報を思い出すことを想起といいます。


記憶の種類

記憶は、保持される時間軸によって、即時記憶・近時記憶・遠隔記憶に分類されます。


即時記憶

数十秒から1分程度の短い時間、一時的にものごとを覚える能力を即時記憶といいます。代表例として、「電話番号を覚えて、電話をかける」「文書を読みながらその内容を理解する」などが挙げられます。


近時記憶

即時記憶より長い、数分~数日間の保持時間の記憶を近時記憶といいます。前日の食事の内容や行動履歴、天気などが代表例として挙げられます。


遠隔記憶

近時記憶よりも、さらに長い、数年から数十年以上の保持時間の記憶を遠隔記憶といいます。過去の旅行経験や冠婚葬祭など、個人の生活史が代表例として挙げられます。


記憶力の仕組みは複雑で、遺伝的な要素も記憶力に影響を与えます。一部の人は生まれつき記憶力が高い傾向がある一方で、環境や学習習慣によっても記憶力は向上することがあります。正しい学習法やトレーニングを取り入れることで、記憶力を効果的に向上させることが可能です。


記憶力が低下する原因とは?

現代の生活は情報量が膨大で、日常生活や仕事、学業で新しい知識や情報を覚える必要があります。しかし、新しい情報を効率的に記憶するのは簡単なことではありません。自身の記憶力の低下を気にし、他人と比較して不安を感じる方も多いでしょう。ここでは、記憶力が低下する理由を5つの観点から簡単に紹介します。


1.加齢(認知機能の衰え)

脳も体と同様に年齢を重ねるごとに変化し、脳の神経細胞の機能低下や脳血流の低下などが記憶力の低下につながるとされています。この加齢に伴う脳の変化が認知機能の低下を招き、記憶力の低下につながることがあります。特に、中年以降に認知機能の低下が現れ、老年期に入ると顕著になることが多いです。


2.偏った食事による栄養不足

健康な脳機能を維持するためには、適切な栄養が必要です。ビタミンBなどの栄養素は脳の記憶に関わる働きを支えます。偏った食事や栄養不足は、脳の機能低下を引き起こし、「もの忘れ」などの症状を生じることがあります。


3.睡眠不足

睡眠は脳の健康維持に重要です。睡眠中に脳は記憶の定着や老廃物の除去を行います。しかし、慢性的な睡眠不足は、日中の集中力や記憶力の低下を引き起こすことが知られています。特に、日本人の睡眠時間は世界で最も短いとされており、睡眠不足による影響が懸念されています。


4.薬の影響

一部の薬品は記憶力に影響を与える可能性があります。抗うつ薬や抗精神病薬、抗不安薬(睡眠薬)などは、記憶力の低下を引き起こすことがあるため、注意が必要です。身近な人が記憶力低下を感じている場合、薬の使用状況を確認し、医師に相談することが重要です。


5.身体の不調や病気

認知症やうつ病なども、記憶力の低下に影響を与えることがあります。特に、認知症は高齢者に見られる症状で、認知機能が持続的に低下して日常生活に支障をきたす状態です。うつ病も記憶力の低下を引き起こし、集中力や判断力が低下することがあります。

これらの要因が重なることで、記憶力の低下がより顕著になる可能性があります。しかし、適切な食事摂取や十分な睡眠、ストレスの管理、健康な生活習慣を心がけることで、記憶力を向上させることが可能です。


記憶力がいい人と悪い人の違い

記憶力がいい人と悪い人の違いは、その性格や習慣、そして脳の働きに起因します。以下に、それぞれの人の違いを紹介します。


1.好奇心旺盛な性格

記憶力がいい人は、好奇心が旺盛な傾向があります。新しい情報や知識に興味を持ち、積極的に学習しようとします。好奇心が刺激を与え、脳に情報を記憶する機会を提供するため、記憶力が強化されます。


2.情報の管理・処理が速い

記憶力がいい人は、情報を迅速に整理し、共通点や関連性を見つける能力に優れています。これにより、複雑な情報を効果的に処理し、長期的な記憶に結びつけやすくなります。


3.話の聞き方が違う

記憶力がいい人は、他人の話を真剣に聞き、自分の頭で考えることに意識を向けます。質問を通じて情報を整理し、自分の意見や感情と結びつけることで、記憶が深まります。


4.集中力がある

記憶力がいい人は、長時間にわたって集中して作業や学習に取り組むことができます。深い集中状態に入ることで、脳が情報をしっかりと取り込み、記憶を強化することができます。


記憶力が悪い人は、これらの特徴に欠けることがあるか、あるいは効果的な記憶の習慣を欠いている可能性があります。しかし、記憶力はトレーニングや習慣の改善によって向上させることができます。


自分に合った方法が見つかる、記憶力を上げる方法

記憶力を向上させることは、仕事や勉強、日常生活において重要です。特に、新しい情報や業務を効率的に覚えることは課題の一つかもしれません。しかし、自身の記憶力が悪いと感じたり、他者と比較したりすることはありませんか?そんな方々のために、記憶力UPの方法を紹介します。


日常生活の工夫で記憶力UP

食事

食事は記憶力に密接に関連しています。オメガ3脂肪酸は、魚の中でもサケやマグロ、さらにはくるみやアマニにも多く含まれています。これは、脳の健康を保ち、記憶力を支える働きがあります。一方、抗酸化物質はブルーベリーやかぼちゃの種に特に豊富に含まれており、これにより脳の老化の進行を遅らせるとともに、記憶力の向上にも期待されています。


また、食事の際に食べ物を噛んで口周りの筋肉を動かすことで、それらの刺激が脳へ伝わり活性化する要因となります。「噛む」ことで、記憶にも関係している脳の「前頭前野」が刺激され、記憶力への影響もあると考えられています。

詳細はこちら(「噛む」ことで記憶力がUPする!? 研究者に聞いた、食事の工夫)の記事をご覧ください。


睡眠

質の高い睡眠は記憶力の定着に不可欠です。充分な睡眠時間を確保し、規則正しい生活習慣を保つことが大切です。就寝前にリラックスする習慣を持ち、良い睡眠環境を整えましょう。


運動

運動によって脳の海馬が活性化され、記憶力が向上します。日常的な運動を取り入れることで、脳の健康をサポートしましょう。


人付き合いやコミュニケーション

コミュニケーションを通じて新しい情報を共有し、議論することは脳を刺激します。積極的に会話に参加し、知識を共有しましょう。


趣味に取り組む

趣味は脳を刺激する素晴らしい方法です。新しい趣味を見つけて、脳をアクティブに保ちましょう。語学学習や楽器演奏、複雑なパズルゲームなど、脳を使う趣味がおすすめです。


仕事や勉強における工夫

紙に書く・メモをとる

手書きをすることは、情報を記憶に留めるのに効果的です。重要なポイントをメモにまとめる習慣をつけましょう。


マーキングする

大事な情報をマーカーで強調することで、視覚的な刺激を増やしましょう。要点を際立たせることで、記憶に残りやすくなります。


復習する

情報の定着には復習が不可欠です。学んだ内容を定期的に復習し、記憶を強化しましょう。


声に出す

情報を声に出して言うことで、視覚と聴覚を結びつけ、記憶を固定化できます。口に出して覚える練習をしましょう。


アウトプットする

学んだことを他人に説明したり、資料を作成したりすることで、記憶力を向上させることができます。アウトプットを積極的に行いましょう。


イメージする

情報を文字ではなく、頭の中で具体的にイメージしましょう。具体的なイメージは記憶の定着に役立ちます。


メモリーツリーをつくる

情報を整理し、階層的に表現する「メモリーツリー」を使って情報を整理しましょう。メモリーツリーはテーマとなる単語を中心に、そのテーマに関連する小テーマを記載し、さらに小テーマにしたがって具体的に覚えたいことを書いていく手法です。


自分のライフスタイルや学習スタイルに合わせてこれらの方法を取り入れることで、記憶力を向上させることができます。日常生活や仕事・勉強において、自信を持って情報を覚え、新しい知識を活用しましょう。

まとめ

この記事では、記憶力の仕組や低下の原因、向上させるためのさまざまな方法やコツなどを紹介しました。記憶力を向上させることは、日常生活や仕事、勉強などにさまざまな場面で役に立ちます。本記事で紹介した方法を参考に、自分に合った記憶力向上の工夫をぜひ取り入れてみてください。

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