{{ header }}
{{ body }}
スキップ
2023.10.27

ケアスタッフより、家族介護者の方へメッセージ ~第15回~『介護における、他者との関わりの大切さ』

高齢者と一緒に暮らす中で、ときどきコミュニケーションに悩むこともあるかもしれません。特に高齢者の本音が見えないときに、本人が何を考えているかわからず、介護の方向性も決めづらいと悩んでしまうことはないでしょうか? そのように悩んだときには、高齢者との関わり方を変えてみると解決の糸口が見えてくるかもしれません。


本コラムでは、経験豊富なSOMPOケアのスタッフが過去に関わったご家族のエピソードをご紹介します。介護のプロが提案してくれる高齢者とのコミュニケーションのアドバイスもぜひ参考にしてみてください。


目次
・今回のテーマ「他者との交流で変化した生活スタイル」
  ・新人ケアマネと当事者Tさんの出会い
  ・“他者とうまくいかない状況”に他人事なTさん
  ・他者との関わりにより変わっていくTさん
  ・交流を増やすことにより信頼感が深まる
・ケアスタッフからのアドバイス
  ・言葉の裏側の気持ちを理解する、本音を探る
  ・人との繋がりを大切に

執筆者画像
SOMPOケア 山形あかねヶ丘 居宅介護支援 上席管理者 菅原美江さん
介護を目指したきっかけは、家族が指定難病に罹っていることに気づいたことでした。将来的に家族の介護が必要になると思った菅原さんは、ヘルパー2級を取得後、更なるスキルアップの為ケアマネジャーの資格を取得されました。多くの事例を経験したいと思いSOMPOケアに入社。介護の仕事をする際には、利用者さん本位のサービス提供であることをモットーとされている、利用者さん想いのケアマネジャーさんです。

今回のテーマ「他者との交流で変化した生活スタイル」

高齢者の介護を考える上で重視したいのが、ご家族以外の人との交流です。家族間のコミュニケーションももちろん大切ですが、それ以外の他者との交流は、高齢者の生活意欲を向上させたり、メンタルが安定したりとメリットが多いものです。


今回は、他者との交流をきっかけに、感情の起伏が安定し、生活まで変化した高齢者の事例を紹介していきます。高齢者に寄り添ったコミュニケーションのポイントについてのアドバイスと合わせて、参考にしてみてください。


新人ケアマネと当事者Tさんの出会い

今回は、新人ケアマネジャー(以下、新人ケアマネ)が担当したTさんのお話です。Tさんはこれまで、次男のサポートを受けながら生活をしていましたが、お金を持つとギャンブルやタバコに使い果たしてしまうような生活をしていました。


そのような生活を続けていくうちに次男は愛想を尽かし、喧嘩をきっかけにTさんは家を追い出されてしまったのです。家を追い出され、近所をうろついていたところを警察に保護され、保護施設であるシェルターに入所。そのタイミングで介護支援の相談を受けることになり、新人ケアマネがTさんの担当をするようになりました。


“他者とうまくいかない状況”に他人事なTさん

しかし、シェルター内で、Tさんに以下のような行動がみられるようになり、他者との関係がうまくいかない状況でした。


・シケモク(タバコの吸い殻)を拾って吸ってしまう

・他の方のお弁当を食べてしまう

・上記のことが原因で他者とトラブルを起こす


そこで、長寿支援課の擁護係・生活保護の係・成年後見センタースタッフ・地域包括支援センタースタッフ・シェルタースタッフ・ケアマネによる会議を実施。上記のような行動を含め、さまざまな問題があり、結果的にシェルターでの生活は難しいと判断され、住宅型施設へ入所することに決定しました。


「追い出されたり、保護施設に入ったりしたけど、タバコもやめられないし……。今の状況もどうしようもないのだよな……」と、Tさんは少し寂しそうにも感じましたが、どこか他人ごとに思っているような感じがしました。


他者との関わりにより変わっていくTさん

最初は、新人ケアマネもTさんとの関わりに四苦八苦している様子でした。しかし、足しげくTさんの元へ通い、徐々に信頼関係ができてきたときのことです。住宅型施設に入所してしばらく経ってから新人ケアマネが面会に行ったときに、Tさんの表情が今までと少しだけ違うことに気づきました。


「Tさん、調子はどうですか?」と聞くと、嬉しそうに「ここの人と話すのが楽しい」と言ったのです。それだけではなく、あれだけ依存していたタバコも吸わなくなっていました。懸念されていた他利用者とのトラブルもなく、新人ケアマネの目の前にいるのは穏やかな生活を送り、楽しそうに話すTさんの姿だったのです。


これには、新人ケアマネも驚きました。今思うと、Tさんはもともとお話好きな方でした。住宅型施設に入所してスタッフや他の利用者と交流し、会話をされたことで、Tさんの気持ちが満たされたのではないかと思います。Tさん自身がタバコに依存していたり生活が荒れていたりしたのは、本当は淋しかったからかもしれません。


交流を増やすことにより信頼感が深まる

他者との交流をきっかけに生活習慣までここまで変わった事例は、珍しいかもしれません。Tさん自身の中にあった“柔軟さや人としての優しさ”が他者との関わりをきっかけに出てきたのかもしれません。また、新人ケアマネのサポートも大きかったのではないかと思います。

当初、新人ケアマネはTさんとの関わり方がわからず苦労したり、自身が表面上の言葉でしかTさんの意思を理解できなかったりしていました。しかし、関わりが増すごとにお互いの信頼と理解が深まり、Tさんも「自分をわかってくれる人がいる・味方がいる」として、安心されたのではないかと感じました。この事例で、高齢者との信頼関係を築くこととコミュニケーションの大切さを改めて実感しました。


ケアスタッフからのアドバイス

高齢者とコミュニケーションを取るうえで言葉の裏を探るということは大切なことであると思います。本当は何か困っていることや助けてほしいことがあっても、本音を言えない人は多いものです。


言葉の裏側の気持ちを理解する、本音を探る

高齢者の言動に違和感を持ったら、言葉の裏側に本当の気持ちが隠されていることがないかを考えてみてください。例えば「はい」と返事をしても、その言い方で「どんな気持ちではいと答えているか」を判断できるようになると、コミュニケーションがスムーズになります。「理解されて返事をしているか」「内容はわかっていないけど、とりあえず返事をしているのか」「言わざるを得なくて返事をしているか」によっても、そこからの適切な関わり方や選択肢が変わってくるでしょう。


そうやって高齢者の言葉だけでなく仕草や表情にまで目を向け、「怒っているときは〇〇の仕草をする」などその人の表現パターンを探していくことで、高齢者の本音を探ることができます。


人との繋がりを大切に

今回の事例でもわかった通り、高齢者の困った言動の裏には淋しさが隠れていることが多いです。もし、身近な高齢者の言動に困ったときには、「なぜそうするのか」を少し観察してみるのも良いかもしれません。淋しさが原因である場合は、他者との関わりを増やすことで改善する可能性があります。


人との繋がりは、生きる上で大切なことです。それは、高齢者にとっても一緒で、辛いことや悲しいことがあっても、人との繋がりに救われることは多いでしょう。誰かと楽しい時間を共有したり、辛い出来事に共感し合ったりすることで、生活意欲の向上やメンタルの安定に繋がることもあります。高齢者の生活の質を維持・向上させたいと思ったら、他者との関わりに目を向けてあげるのも一つかもしれません。


また、そっと寄り添って話を聞いてあげるのも良いでしょう。さまざまな視点から高齢者の気持ちを探り、その人が本当に求めていることは何かを考えていくことは介護をする上でも重要であると思います。だからといってご家族だけが無理をする必要はありません。もしも、ご家族間で解決できないような悩みがでたときには、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみてください。


他者との関わりを持ちながら、安心して生活できる環境こそが理想的です。他者とのコミュニケーションを通して、高齢者本人だけでなくご家族にとっても無理なく生活しやすい環境を目指しましょう。


取材/SOMPO笑顔倶楽部  文/中村亜美

SOMPOケアでは、介護に関するさまざまなご相談をお受けしています。 お電話・またはお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

【電話番号】0120-37-1865 【受付時間】9:00〜18:00 (年末年始を除く)

楽しく、あたまの元気度チェック(認知機能チェック)をしましょう

あたまの元気度チェックへ

メール会員のおもな特典

メール会員には、「あたまの元気度チェックの結果記録」に加え、以下のような特典があります。

身長や体重・運動習慣等を入力するだけで、将来の認知機能低下リスクをスコア化できます。

認知症や介護に関する最新のニュースやお役立ち情報を月2回程度お知らせします。

  • 認知症知識・最新情報
  • ケアスタッフより、家族介護者の方へメッセージ ~第15回~『介護における、他者との関わりの大切さ』