人生100年時代、だれしも認知症と無関係ではいられない時代です。認知症と共に生きる社会の実現に向け、今私たちはどんなことを乗り越えるべきなのでしょうか。
このほど行われたオンラインセミナー「第7回『共に生きる』認知症を考えるオンラインセミナー~Talk with 話そう。認知症のこと」では、そんな認知症と共生する社会への“バリア(障壁)”がテーマ。パネルディスカッションでは、脳科学者で認知症の母を介護した経験のある恩蔵絢子さん、認知症専門医の松本一生さん、俳優で母の介護経験もあるいとうまい子さん、老年科医で軽度認知症と診断されている奈倉道隆さんが、それぞれの立場から考える社会の“バリア”について語りました。
(左)いとうまい子
1983年アイドルデビュー。現在は俳優として活躍する一方、テレビ番組制作会社の代表を務める。2010年、早稲田大学入学。修士課程では「ロコモティブシンドローム」予防のための医療・福祉ロボットの研究に携わる。現在は同大学院に研究生として所属し抗老化学を研究中。2021年に内閣府の教育未来創造会議の構成員を務めている。
(中央左)松本一生
松本診療所(ものわすれクリニック)院長、大阪公立大学大学院客員教授、日本認知症ケア学会理事。1956年大阪市生まれ。1983年大阪歯科大卒。1990年関西医科大卒。専門は老年精神医学、家族や支援職の心のケア。大阪市でカウンセリング中心の認知症診療にあたる。著書に「認知症ケアのストレス対処法」(中央法規出版)など。
(中央右)恩蔵絢子
脳科学者。専門は自意識と感情。一緒に暮らしてきた母親が認知症になったことをきっかけに、診断から2年半、生活の中でみられる症状を記録し脳科学者として分析した『脳科学者の母が、認知症になる』(河出書房新社)を2018年に出版。現在、東京大学大学院総合文化研究科特任研究員。近著に『なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか』(中央法規)がある。
(右)奈倉道隆
1934年生まれ、東海学園大学名誉教授。京都大学医学部卒 医学博士、老年科医。佛教大学仏教学科卒、僧侶。介護福祉士。2010年、MRI検査で脳の萎縮が見られ、軽度認知障害(MCI)の状態とされたが、大学院の特任教授を3年勤め、その後も、介護福祉施設デイサービスのボランティアなどとして活躍している。13年後の今も脳の萎縮に変化は見られていない。
目次
・75歳で認知症と診断され「生き方を考えた」
・入院をきっかけに認知症が悪化、寝たきりに
・かかりつけ医と病院との連携で、入院中の認知症進行を防ぐ
・介護家族は「30%を目指す」くらいでいい
・長寿社会をどう生きるか、生き方や考え方を転換すべき
・他者のために何かをしようという人は認知症が悪くならない
・認知症になっても負けない生き方を今から準備しておく