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認知症の高齢者をケアしている介護士
2023.09.29

認知症ケア専門士になるには?取得するメリットや受験方法についても解説

「認知症ケア専門士の資格を取得するメリットは?」「認知症ケア専門士の資格取得って難しいの?」などと疑問に思っていませんか? 認知症ケア専門士の資格を持っている方が周囲にいないと、具体的な内容が聞けずにわからないことが多くありますよね。この記事では下記の内容を解説しています。


● 認知症ケア専門士とは?

● 認知症ケア専門士の資格取得のメリット、注意点

● 認知症ケア専門士の試験内容について


認知症ケア専門士の資格を取得しようか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。


目次
・認知症ケア専門士とは?
・認知症ケア専門士のいる施設は?
・認知症ケア専門士のメリット
・認知症ケア専門士を取得する際の注意点
・認知症ケア専門士になるには?
・認知症ケア専門士の試験内容
・認知症ケア専門士試験の合格率
・試験のための勉強方法
・認知症ケア専門士を取得して専門性や仕事のやりがいを高めよう

執筆者画像
SOMPOケア 認知症プロジェクト推進部 尾田 淳(おだ まこと)さん
1999年11月より福祉に携わり、介護現場や人との関わりから、地域交流や多世代交流、認知症カフェや役割の構築など様々な分野で繋がりの大切さを知り、「無意識のうちの差別」が起こりうる社会を、少しでも変えていきたいという思いを抱いている。現在SOMPOケア認知症プロジェクト推進部に所属し、今までの経験を通して、主に「共生」に資する取り組みに関わっている。また、プライベートにおいても、「定食屋きまぐれ」(※認知症のある人がホールスタッフをする定食屋)を定期的に開催。

認知症ケア専門士とは?

認知症ケア専門士とは「一般社団法人認知症ケア学会」が認定している民間資格です。


認知症に対する専門的な知識を学び、試験により優れた学識と高度な技能、倫理観があると認められた方にのみ与えられる資格です。看護師や介護福祉士などの国家資格を保有している方たちでも、全員が認知症に関して詳しいわけではありません。認知症ケア専門士の資格を保有しているということは、認知症に関してより専門的な知識や技術があることを証明しています。


認知症ケア専門士のいる施設は?

認知症ケア専門士の方が所属している施設を下記にまとめます。


● 病院
● グループホーム
● 通所リハビリ
● 老人ホーム
● 地域包括支援センター


認知症ケア専門士は、医療系から介護系の施設まで、幅広く活躍しています。また、認知症の方が利用するのは介護施設だけではありません。怪我や病気の治療で、病院に入院する場合もあります。そのため、病院スタッフも認知症に関する知識が必要になるのです。上記の施設は、認知症の方と接する機会が多くあるため、認知症ケア専門士の資格を保有しているとより活躍できるでしょう。


認知症ケア専門士のメリット

認知症ケア専門士の資格を取得するメリットは「認知症に関する知識や技術が向上する」だけではありません。それ以外にも、下記のようなメリットがあります。


● 需要が高まる

● 仕事のやりがいが広がる

● キャリアアップにつながる


それぞれについて、詳しく解説します。


需要が高まることが推測される

高齢化が進み、認知症の方が増加すれば、専門的な知識や技術を有している「認知症ケア専門士」が重宝されるようになるでしょう。

日本は人口に占める高齢者の割合が世界でもっとも高い国(※1)であり、これから先も高齢化が進むと予想されます。厚生労働省によると、2025年には、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になる可能性があると発表しています(※2)。認知症は完治が難しく、進行の予防が重要視されるため、専門知識をもった認知症ケア専門士の需要は高まるでしょう。

※1参考:統計トピックスNo.132 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-1.高齢者の人口

※2参考:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)


仕事のやりがいが広がる

認知症の方はそれぞれ症状が異なるため、決められたことだけをこなすのではなく、個々の状況に合わせた対応を考える必要があります。

認知症ケア専門士の専門知識を日々の業務に活用すれば、患者さんやその家族、同じ職場のスタッフからこれまで以上に頼られる存在になるでしょう。


認知症ケア上級専門士を取得して「キャリアアップ」につながる

認知症に関するより専門的な知識や技術を得ることで、昇進や転職時に有利になることが期待できます。また、認知症ケア専門士よりも上位の資格である「認知症ケア上級専門士」を取得すれば、ケアチームにおけるリーダーや地域のアドバイザーとして活躍できる可能性も高まるでしょう。新人のケアワーカーの指導に携わっている方や、科学的エビデンスに基づいたケアについて深く学びたい方などは、認知症ケア上級専門士まで取得してみてください。


認知症ケア専門士を取得する際の注意点

認知症ケア専門士を取得する際の注意点を下記にまとめます。


● 認知症ケア専門士は民間資格

● 資格取得に5万円程度かかる

● 認知症ケア専門士は5年ごとに資格更新が必要


それぞれについて、詳しく解説します。


認知症ケア専門士は民間資格

認知症ケア専門士は「一般社団法人認知症ケア学会」が認定している民間資格であり、国家資格ではないので、注意しましょう。認知症ケア専門士は民間資格であるため、認知症専門ケア加算の対象になりません。認知症専門ケア加算の対象となるには「認知症介護実践リーダー研修」や「認知症介護指導者養成研修」といった研修を修了している必要があります。現状、認知症ケア専門士の資格は加算対象ではありませんが、認知症の方やその家族からは必要とされる存在になるはずです。


資格取得に5万円程度かかる(受験費用、テキスト代など)

認知症ケア専門士の資格を取得するのにかかる費用は約5万円であり、内訳は下記のとおりです。


認知症ケア専門士を取得するには、合計47,345円(税込み)必要です。もし、テキストが必要ない方の場合でも、36,000円(税込み)かかります。


また、資格を取得しても5年ごとの更新が必要であり、資格更新費用は10,000円(税込み)です。更新のためには、研修に参加して必要単位数を取得する必要があります。


認知症ケア専門士は5年ごとに資格更新が必要

認知症ケア専門士、認知症ケア上級専門士は5年ごとに資格更新が必要です。更新しない場合は、資格が失効されます。


更新時期までに学会や研修会に参加し、必要単位数を取得して申請しなければいけません。資格更新には30単位が必要であり、参加する研修や学会によって単位数が決まっています。もし、更新時期までに30単位取得できていない場合は、保留申請することで1年間のみ延長できます。資格更新制度がある理由には、質の高いケアを提供するために、キャリアプランを見直す機会をもつことや、最新の知識や技術を学ぶことが挙げられます。人を相手にする仕事だからこそ、常にアップデートして、最適なケアを提供できるようにしなければいけません。


認知症ケア専門士になるには?

認知症ケア専門士になるためには「一般社団法人認知症ケア学会」が主催している認定試験に合格する必要があります。ここでは、試験に関する下記内容を解説します。


● 受験資格

● 受験までの流れ

● 試験までにかかる費用


それぞれ、注意すべきポイントについてみていきましょう。


受験資格

認知症ケア専門士の資格試験は、誰でも受けられるわけではありません。受験資格を下記にまとめたので、確認してみましょう。


● 試験実施年度の3月31日より、過去10年間において、認知症ケアの実務を3年以上経年している(認知症ケアに携わっていれば、職種や職務内容に制限はない)


受験自体は、介護福祉士や介護支援専門員などの資格の有無に関わらず可能です。ボランティア活動や実習などは、認知症ケアの実務経験には含まれないので注意しましょう。また、介護福祉士や介護支援専門員などの有資格者であっても、実務経験証明書の提出が必要です。


資格取得までの流れ

認知症ケア専門士の資格取得までの流れを解説します。受験資格を満たしている場合は「受験の手引」を購入します。これが願書になっているため、その年度のものを購入しましょう。昨年度のものや複製したものは利用できません。


認知症ケア専門士の資格取得費用について

認知症ケア上級専門士になるには、認知症ケア専門士としての経験を積んだのちに、認定試験を受ける必要があります。認知症ケア上級専門士の取得まで考えている方は、こちら(認知症ケア専門士認定試験 制度のながれ)をご覧ください。


資格取得までにかかる費用

資格取得までにかかる費用を「必須のもの」と「任意のもの」にわけて、下記にまとめます。

資格取得の必須公徳と任意項目一覧表

第1次試験は、公式テキストの1〜4巻に準じた内容で出題されます。そのため、公式テキストの購入は任意ではありますが、資格取得のためには必要になるでしょう。


認知症ケア専門士の試験内容

認知症ケア専門士の試験は、第1次試験(筆記)と第2次試験(論述)があります。ここでは、それぞれの試験内容についてより詳しく解説します。


第1次試験

第1次試験は筆記試験(五者択一形式)で、4分野すべての合格が必要です。分野ごとの問題数は50問であり、試験時間は1分野1時間です。合格基準は、各分野で正答率70%以上と定められています。


試験分野を下記にまとめます。


● 認知症ケアの基礎

● 認知症ケアの実際1:総論

● 認知症ケアの実際2:各論

● 認知症ケアにおける社会資源


第1次試験の方式は、すべてWEB試験です。事前に動作環境のチェックを忘れないようにしましょう。第1次試験の各分野の合格有効期間は5年です。そのため、1回の試験ですべて合格できなくても、来年度の試験で不合格の分野だけ受験することもできます。


第2次試験

第1次試験で4分野すべてに合格した方は、第2次試験を受験できます。第2次試験の内容は、認知症ケアの事例に対する論述3題です。論述の評価により、下記5つの要件を満たしていることが合格基準になります。


● 適切なアセスメントの視点を有している者

● 認知症を理解している者

● 適切な介護計画を立てられる者

● 制度および社会資源を理解している者

● 認知症の人の倫理的課題を理解している者


第2次試験では、より実践的で総合的な知識が問われます。第2次試験では、論述とその他の必要書類を一緒に提出しなければいけないため、期間に注意しましょう。


認知症ケア専門士試験の合格率

認知症ケア専門士の合格率は、40〜50%です。


認知症ケア専門士の資格をもっている方は、介護福祉士や介護支援専門員、ヘルパー、看護師などの資格も保持している場合が多くあります。そのような有資格者が、認知症ケア専門士の試験を受けても40〜50%の合格率であるため、民間資格にしては専門性が高い試験であると言えるでしょう。認知症ケア専門士公式サイトで、年度ごとの合格率や、保有資格などをチェックできます。気になる方は、ぜひご覧ください。


試験のための勉強方法

認知症ケア専門士の試験に合格するためには、公式テキストを活用した学習がおすすめです。第1次試験は、公式テキストの1〜4巻に準じた内容で出題されます。また、公式テキストの5巻は、第2次試験の参考となる書籍です。そのため、認知症関連の他の書籍を使うよりも、公式テキストに沿って勉強を進めたほうが効率的でしょう。模擬問題集は公式サイトからは発売されていないため、出版社からでているものを購入することをおすすめします。


ひとりで勉強するのが苦手で「何から始めればいいのかわからない」という方は、一般社団法人日本認知症ケア学会が主催している「受験対策講座」を受講するといいでしょう。受験対策講座では、分野ごとの重要ポイントに的を絞って講義をしてくれます。また、本番形式の模擬試験を行えます。


認知症ケア専門士を取得して専門性や仕事のやりがいを高めよう

認知症ケア専門士は、病院や介護施設、デイサービス、地域包括支援センターなどさまざまな施設で活躍できます。これから高齢者がさらに増え、65歳の5人に1人が認知症になると言われていることからも、専門的な知識や技術を持った人材の需要が高まることが推測されます。認知症ケア専門士を取得し、より高い専門性を発揮することで、患者さんや職場のスタッフからも頼りにされて仕事のやりがいも高まるでしょう。


認知症に関する専門性を高めたい方は、認知症ケア専門士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。


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