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2018.11.01

認知症になっても安心して暮らせる社会を目指して〜認知症の人と家族の会代表インタビュー

全国47都道府県に支部を持ち、認知症ご本人と家族に寄り添い続ける公益社団法人認知症の人と家族の会。認知症の人本人だけでなく介護する家族もともに「当事者」と捉え、38年間活動を続けています。代表の鈴木森夫さんに、活動や目指す社会についてお話を伺いました。


「認知症の人と家族の会」とは

1980年当時、世間では痴呆症(現在の認知症)は脳の病気に起因するという認識は低く、「歳をとって耄碌(もうろく)した状態」という捉え方が一般的で、専門の相談先も社会的支援策もありませんでした。そんな中、介護する家族が集まり、日頃の苦労を語り合う場を設けたのが「呆け老人をかかえる家族の会」(現在の「認知症の人と家族の会」)のはじまりです。家庭の中で孤軍奮闘していた人たちが、集うことによって「苦しい思いをしているのは自分だけではない」ということを実感し、互いに大きな勇気を得ることになります。当初は京都の会とする予定が、全国から悩みを抱える家族が予想外に多く集まったため、初めから全国の会としてのスタートとなり、その後続々と全国に広がっていきました。

将来の日本において社会的な課題となるであろう認知症に関する問題を、世に訴えかけていくべきということで始まった、社会運動の一つであったと言えます。

発足時から続いている活動の3本の柱として「つどい」「会報」「電話相談」があります。認知症を取り巻く人々をつなぎ、ともに励まし合いながら、人として実りある人生を送ることを目指し、行政への要望・提言なども行なっています。



「認知症になっても安心して暮らせる社会」を目指して

寿命が伸びている今、認知症になっても安心できるような仕組みや、認知症に対する社会の正しい理解を広げていかねばなりません。そのためにも、本人も家族も社会に積極的に参加することが大事です。本人や家族にとってだけでなく、周りの人に正しい理解を促すきっかけにもなります。

例えば認知症の人は買い物で支払いの際に時間がかかることがあります。そんな時、スーパーのレジにゆっくり対応してくれるスローレーンを設けるなど、特別扱いではなく、他人の迷惑や目を気にせずに一緒に買い物ができ、普通の社会生活が送れる環境が必要です。認知症は生活障害がありますから、行動に時間がかかったり、生活する上でも工夫が必要なことが出てきますが、何もできないわけではありません。「こういうものなんだ」ということを周りもわかっていれば、ハンデがある人も「どうしよう」と思わず、安心して外に出ていける。それが何よりも大切ですね。

私の出身地、愛知県の大府市は、日本で初めて「認知症に対する不安のないまち推進条例」を作り、認知症の人の賠償支援なども盛り込まれています。

認知症の人が安心して暮らせる社会は、ハンデのあるなしに関わらず誰もが普通の生活ができる社会です。そのためにも、認知症の方や家族が積極的に外に出られる受け皿が、色々な場所にできるといいですね。更に言えば、ただ開かれているだけでなく、社会に出た時に本人が「まだまだ役割があるんだ」と自信が持てるような仕組みまでできるのが一番です。



認知症になっても生き生きと過ごすために

認知症になったら何もできなくなるわけではありません。それまで社会生活を送ってきたのですから、できることや活かせることがあるのです。役割や居場所、周囲のサポートがあることで自信に繋がり、生き生きと過ごしている方がたくさんいらっしゃいます。

私が知っている元板前の男性は、家では1日中寝ているような状態でしたが、たまに料理をすると、すごく生き生きとするんです。グループホームに入居してから、料理を手伝うようになり、だんだん自信が出てホームの献立を考えて、職員といっしょに買出しに出かけるようになり、すごく元気になったのです。人は自分の役割や、自分がしたことで皆に喜んでもらえることが生きがい、元気の素になるんだなと思います。生き生きと過ごすことが進行を遅らせることにつながるので、一人ひとりに合わせた役割を見つけ、実行できる仕組みが整うといいですね。



早期発見・早期診断の大切さ

会が発足した当時は早期発見や早期診断は難しく、症状が進んで本人の不安や混乱が強くなり、BPSD(行動・心理症状)がひどくなってからやっと対応することも多かったと思います。そうなれば介護負担も大きく、家庭内の人間関係が悪くなることも多いでしょう。本人の状態が穏やかであれば、家族の負担が減るし、家族がゆとりを持って接すれば、本人も落ち着きます。そのような好循環に持っていくことが大切です。

早期発見・早期診断の一番の意義は、認知症をめぐって関係が悪くなる前に、お互いに余裕があるうちに認知症を理解して一緒に歩む準備ができること。本人も元気なうちに自分の意思を決められることです。そして、早めに気づいた時期こそ、同じ境遇の仲間とつながってもらいたい。元気にやっている方の存在や、支援があることをわかった上で、暮らし方や先のことが考えられるのは大切なことです。長く元気に暮らすためにも、早いうちに発見し、正しい診断を受けることがとても重要です。



ADI国際会議に見る認知症をめぐる世界の動向

2017年、認知症の人と家族の会が国際アルツハイマー病協会(ADI)と共催して、京都でADI国際会議が開催されました。前回日本で開かれた2004年と大きく違ったのは、当事者自らが企画したセッションなどが多くあったことです。「参加」だけでなく、主体的な活動が目立ち、世界的にも本人目線が特徴付けられたものになりました。今後は、もう一人の当事者である家族の人生や生活についての課題も、大きく取り上げて欲しいと思っています。

急速に高齢化が進むアジアでは、認知症が深刻な問題になっています。先に高齢化した日本での取組み事例を知りたいというアジア各国からの声が、国際会議後も大きくなっており、「家族の会」にも韓国や台湾、タイなどから交流や訪問の依頼がある状況です。



SOMPOの取り組みについて

認知症の理解促進だけでなく、予防やケアも含めた総合的な取り組みを行っていると感じます。今後も引き続き正しい知識を広げるとともに、認知症になっても居場所や役割が重要であることを伝えていっていただきたいと期待しています。





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