日本をはじめとした超高齢社会では、認知症対策は大きな課題であり、発症の前段階で予防することがとても重要です。軽度認知障害(MCI)は認知症の前段階で、通常の老化と認知症やアルツハイマー病の間の状態と言われています。このMCIの発症を予防することは、将来の認知症発症を減らす可能性があると考えられます。
近年では多くの研究から、口腔の健康状態の低下と、認知機能低下や認知症発症との関連が報告されています。しかしどちらも長期の経過をたどる必要があり、因果関係を明らかにする手法として代表的なランダム化比較試験は困難でした。そこで東北大学大学院歯学研究科では、観察研究において未測定の時間不変の共変量(性格など)によるバイアスを取り除く方法である固定効果分析を使用し、口腔の健康状態の悪化が主観的な認知機能低下の発生確率を増加させるのかについて検討しました。