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2021.01.20

【筑波大学】認知機能を向上させる可能性 二重課題運動の有効性を実証

日本の認知症患者数は先進国35カ国の中で最も多く、厚生労働省によると2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると推定されています。しかし、認知症を完全に治す治療法は確立されていません。従って、認知症の発症を事前に防止すること、すなわち健常な認知機能を長く保持する「低下の抑制」が重要です。


加齢とともに身体機能や認知機能は衰えていきますが、運動を行うことにより、身体機能や認知機能を維持したり、一時的に向上させたりする可能性があることが報告されています。そこで筑波大学では、運動課題と認知課題、2つの課題を同時に行う「二重課題運動」に注目し、その有効性を検証しました。



この研究では、高齢者でも無理なく楽しめる二重課題運動のひとつ「シナプソロジー®(※1)」と呼ばれる運動プログラムを用い、高齢者24名(平均年齢70.6歳)を無作為に、二重課題運動を実施する群(実施群)と実施しない群(対照群)とに分け、比較検証を行いました。


実施群には8週間にわたり、週2回の二重課題運動を実施。二重課題運動は、日本の伝統的遊びである「じゃんけん」と「ボール回し」などの身体動作と、数字の計算や言葉のような脳活性課題を組み合わせたものを行いました。


その結果、参加者の身体機能評価項目であるTUG(※2)と、認知機能評価項目である25-hole trail-making peg test(※3)および血液中の酸化ストレス(d-ROMs)(※4)が維持・向上されました。一方、運動を実施しなかった対照群は、これらの評価項目の有意な向上は見られませんでした。


【参考図】

図 本研究に用いた二重課題運動と結果


※1 シナプソロジー®

じゃんけん、ボール回しといった基本動作に対し、感覚器を通じて入る刺激や、認知機能に対する刺激を変化させ続け、その刺激に対して反応することで脳を活性化させていくメソッドです。できること(習得)を目的とせず、できないことに対応する状態を作り出すことで脳機能の向上を図ります。(SYNAPSOLOGY®は、株式会社ルネサンスの登録商標です。
シナプソロジー研究所 https://synapsology.com/


※2 TUG(timed-up-and-go)

TUGテストは歩行速度、椅子からの立ち上がり、方向転換の機能を評価するテストで、この研究では認知機能と関連がある身体機能評価テストとして用いられました。


※3 25-hole trail-making peg test 

1~25までの数字がランダムに付された穴に、数字の順に棒を差し込むテストで、認知機能と相関があることが分かっています。


※4 酸化ストレス(d-ROMS:Diacron-Reactive Oxygen Metabolites) 


生体は、エネルギーとして酸素を利用する一方で、その副産物として生じる活性酸素などの有害物質の影響を受け、さまざまな疾患や老化を引き起こします。これが酸化ストレスで、近年、アルツハイマー型認知症をはじめ、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症など、神経変性疾患との関わりが指摘されています。d-ROMsテストは、酸化ストレスマーカー(活性酸素代謝産物)を用いて、生体の酸化ストレス度を測定する手法です。


この研究により、二重課題運動の実践は、高齢者の身体機能や認知機能の維持・向上に有効である可能性が示されました。とくに普段運動習慣がない、もしくは運動になじみがない高齢者の方も、楽しく実施できる工夫を施すことにより、より効果的な運動プログラムになると考えられます。このような運動プログラムが自治体や介護施設などに普及することで、認知症予防につながることが期待されます。 


【題 名】 Evaluation of beneficial effect of a dual-task exercise based on Japanese transitional games in older adults: a pilot study

(高齢者における日本伝統のゲームに基づく二重課題運動の有益な効果の評価:パイロット研究)

【著者名】 Jieun Yoon, Hiroko Isoda, Tomohiro Okura

【掲載誌】 Aging


詳細は以下の外部リンクをご覧ください。(筑波大学ホームページ) 

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20201228145157.html

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