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2022.03.07

【岡山大学】認知症などの新しい診断手法に繋がる可能性も!「脳のデフォルトモード」が持つ時空間構造を統計的に検証

ヒトの脳は、何もしていない時でも活発に活動しており、「脳のデフォルトモード」と呼ばれています。これまでの研究により、デフォルトモードの脳活動を調べることで、知的能力や性別、精神疾患など、さまざまな情報を読み取れる可能性があることが分かっています。しかし、その一方で「脳のデフォルトモード」の持つ基本的な性質については未だ良く分かっていません。広く受け入れられている定説では、何もしていない時にさまざまな考えが浮かんでは消えていくように、「脳のデフォルトモード」にも複数の安定状態があり、それが時々刻々と切り替わっているものだと考えられていました。しかしながらこの定説も、実際に正しいかどうかについての検証は十分ではありませんでした。


このような背景のもと、岡山大学と慶應義塾大学、株式会社アラヤの共同研究グループは、「脳のデフォルトモード」に複数の安定状態が存在するという定説を検証するため、これを可視化する代表的な手法である「共活動パターン解析(※1)」に着目し、妥当性を検証することにしました。


※1 共活動パターン解析

脳活動の解析手法のひとつ。脳の一つの部位が活動する時には、その他の脳部位もさまざまなパターンで活動している。共活動パターン解析では、脳活動の時系列データから、このようなパターンを抽出し可視化する。


共同研究グループは、米国Human Connectome Project(※2)が公開しているデフォルトモードでの脳活動データを使用し、統計的モデリングを行いました。この統計的モデリングから、実際の脳活動データの特徴を維持しつつ、安定状態を一つしか持たないような疑似データを得ることに成功しました。

次に、実際の脳活動データと疑似データの両方に共活動パターン解析を適用し、比較しました。その結果、共活動パターン解析から得られる空間パターンや時間パターンが、実際の脳活動データと疑似データとでほとんど一致していることが明らかになりました。このことは、「脳のデフォルトモード」に安定状態が複数あるという従来の解釈が間違いであることを示しています。


今回の結果ではむしろ、従来の説とは異なり、【図1】のように「脳のデフォルトモード」が安定状態を一つしか持たない可能性があることが示されました。


※2 Human Connectome Project

米国ワシントン大学などが主催する、神経科学分野でのオープンサイエンスの代表的なプロジェクト。千人以上のボランティアから、デフォルトモードをはじめとした様々な脳活動データを計測し、世界中の研究者が利用できるように公開している。


【図1】

脳のデフォルトモード。吹き出しは機能的MRIで計測した脳活動のスナップショット。定説では、デフォルトモードでは脳は複数の安定状態を遷移する。対立仮説では、見かけの異なる脳活動のパターンは、実際には一つの状態から生まれる。今回の研究では対立仮説の方が正しい可能性が示唆された。


「脳のデフォルトモード」は、認知症や精神疾患の診断への応用が期待されており、研究が進むことで新しい診断手法の開発に繋がる可能性もあります。今回の研究で明らかになった「脳のデフォルトモード」の性質が診断技術開発に繋がるよう、さらなる研究に期待が寄せられています。


【岡山大学学術研究院自然科学学域(理・生物)の松井鉄平准教授からひとこと】

「『人間は脳の10%しか使っていない』という都市伝説もありますが、実際の私たちの脳は、何もしていない時でも100%に近いくらい活発に活動しています。将来は、このような『脳のデフォルトモード』の活動をスキャナーで読み取ることで、健康状態だけでなく、その人の知能まで分かってしまうようになるかもしれません」


■詳細は以下の外部リンクをご覧ください。

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id922.html


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