認知症の原因の約7割を占めるアルツハイマー病の方は、現在の日本国内だけでも400万人以上いるともいわれ、根本的な治療法の開発が急務です。アルツハイマー病が起きるメカニズムには未解明な点が残されていますが、脳内にアミロイドβという異常たんぱく質が貯まっていくことが最初のきっかけとして重要視されており、最近の研究では、物忘れなどの認知症症状が始まる10~20年以上前からアミロイドβが蓄積してきていることが明らかになってきました。
無症状ながらアミロイドβが蓄積している、いわば発症前の前駆状態を「プレクリニカル期」と呼び、近年ではこの時期に治療を開始することで、根本的な治療が可能になるのではないかと考えられるようになってきました。2021年現在では、プレクリニカル期の方を対象として、アルツハイマー病の根本治療薬の開発を目指したいくつかの臨床試験が世界的に始められています。