{{ header }}
{{ body }}
スキップ
2022.11.08

【順天堂大学】MRIによるアルツハイマー病患者の脳クリアランスシステムの解明 ~アルツハイマー病の新たな予防法・治療法につながる可能性~

順天堂大学医学研究科放射線診断学及び順天堂大学健康データサイエンス学部開設準備室の研究グループは、脳MRIによって、アルツハイマー病患者における脳内アミロイドベータ沈着と認知機能障害に脳クリアランスシステムの機能不全が関与していることを明らかにしました。


【本研究成果のポイント】

・MRIを用いて非侵襲的に脳のクリアランスシステムを評価

・脳クリアランスシステムと脳内アミロイドベータ沈着及び認知機能障害との関連が明らかに

・アルツハイマー病の新たな予防法・治療法につながる可能性


【背景】

これまで脳内には老廃物を排出するためのリンパ機能を担う構造が存在しないとされてきました。しかし近年、グリンパティックシステムという脳内の老廃物(アミロイドベータやタウ蛋白質など)の排泄の働きを担うクリアランスシステムが提唱され、アルツハイマー病をはじめとする様々な脳疾患の発症に関わることが報告され注目が集まっています(図1)。


本研究では、近年開発されたMRI解析手法を用いて、アルツハイマー病患者におけるグリンパティックシステムの機能変化を明らかにすることを目的として、最新の3テスラMRIを用いてグリンパティックシステムに関連したMRI指標(血管周囲腔体積、脳間質自由水量、血管周囲腔に沿った水の拡散率)のアルツハイマー病患者と健常者の違いについて比較を行うとともに、脳内のアミロイドベータ沈着、認知機能障害との関連を検討しました。



図1:正常及び病的な状態における脳のクリアランスシステムの変化

【内容】

本研究では、米国のAlzheimer‘s Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)が公開するMRIデータをもとに、脳クリアランスシステムの間接的な指標(血管周囲腔*2体積、脳間質自由水量*3、血管周囲腔に沿った水の拡散率*4)の評価を行いました。


その結果、アルツハイマー病患者では血管周囲腔体積、脳間質液量が多く、血管周囲腔に沿った水の拡散率が低いことがわかりました。(図2A)さらに、これらのMRI指標は脳脊髄液中のアミロイドベータ量や認知機能障害と有意な関連があることがデータとして出ています(図2B)。


いずれもアルツハイマー病の発症の原因とされるアミロイドベータの脳内沈着や、アルツハイマー病患者で問題となる認知機能障害の根底にグリンパティックシステムの機能低下が関与している可能性を示しています。



図2:本研究で明らかとなったアルツハイマー病の脳クリアランスシステム機能の変化と脳脊髄液中アミロイドベータ量及び認知機能との関連


以上から、MRIを用いて非侵襲的にグリンパティックシステムの機能を評価できること、アルツハイマー病患者ではグリンパティックシステムの機能が低下し、脳内アミロイドベータ沈着と認知機能の低下との関連があることが明らかとなリました。アルツハイマー病の新たな予防法・治療法として、グリンパティックシステムの改善・促進が有効である可能性があります。


【今後の展開】

本研究によって、MRI指標が非侵襲的なグリンパティックシステムの評価手法として有用である可能性が示されました。一方で、アルツハイマー病におけるグリンパティックシステムの機能低下が脳内アミロイドベータの沈着を引き起こすのか、アミロイドベータの沈着による影響でグリンパティックシステムの機能が低下するのかについてはまだわかっていないため、今後さらに縦断的なアプローチによって明らかにしていく必要があります。


また、他の脳疾患についても同様の検討を行うことによって種々の脳疾患における新たな予防法・治療法の開発及び病態解明の推進が期待されます。


■詳細は以下の外部リンクをご覧ください。

https://www.juntendo.ac.jp/news/20220921-01.html


楽しく、あたまの元気度チェック(認知機能チェック)をしましょう

あたまの元気度チェックへ

メール会員のおもな特典

メール会員には、「あたまの元気度チェックの結果記録」に加え、以下のような特典があります。

身長や体重・運動習慣等を入力するだけで、将来の認知機能低下リスクをスコア化できます。

認知症や介護に関する最新のニュースやお役立ち情報を月2回程度お知らせします。

関連記事

  • 認知症知識・最新情報
  • 【順天堂大学】MRIによるアルツハイマー病患者の脳クリアランスシステムの解明 ~アルツハイマー病の新たな予防法・治療法につながる可能性~