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2022.07.06

【花王】日常歩行モニタリングのさらなる進化~認知機能低下の推定や歩行安定性の評価へ応用できる可能性~

花王は、おむつ開発や高齢者の健康支援への応用などを目指し、幼児から高齢者まで3万人以上の歩行データをもとにさまざまな研究を進めており、近年では歩行動作をさらに詳細に解析できる技術の開発に取り組んでいます(※1)。一方で、日常的な歩行の状態を連続してモニタリングできる技術の開発にも取り組んでいます。この日常歩行モニタリングをさらに進化させるため、歩行状態からさまざまな健康課題を推定する研究や、歩行状態をさらに精緻に評価する研究を進めた結果、今回2つの新たな知見が得られました。


※1 2020年10月9日花王ニュースリリース:モーションキャプチャ技術で幼児の歩行発達メカニズムを解明

https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2020/20201009-001/

2021年7月20日花王ニュースリリース:スマートフォンなどで動画を撮影するだけで歩行動作を詳細に解析できる技術を開発

https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2021/20210720-002/



■認知機能低下と日常歩行速度の関係性

歩行という動作は、さまざまな認知機能を必要とします。そこで花王では、認知機能低下と日常歩行速度の関係性を検討しました。

運動機能の疾患がなく、要介護状態ではない60~91歳(平均70歳)の高齢者1,567名を対象に、歩行専用高感度活動量計(図1)を1日10時間以上かつ7日間使用してもらい、日常歩行速度の計測を行いました。さらに被験者の認知機能を「MMSE(※2)」と「NCGG-FAT(※3)」という手法を用いて評価し、その中から健常グループ(※4)と認知機能低下グループ(※5)を抽出して、日常歩行速度を比較しました。


※2 Mini-Mental State Examinationの略語で、「精神状態短時間検査」と呼ばれる認知症のスクリーニング検査。世界的に最も広く使用されている検査で、評価項目は11問、所要時間は10~15分程度で認知症の疑いを判断することができる。

※3 国立長寿医療研究センターが開発した認知機能評価の専用システム。

※4 MMSE:24点以上、かつ、NCGG-FAT:4項目全て標準値内

※5 MMSE:23点以下、かつ、NCGG-FAT:1項目以上が標準外


【図1】歩行専用高感度活動量計(HW)


その結果、1日の日常歩行速度の平均値を比べるとグループ間の差はありませんでしたが、日常歩行速度を3時間ごとに区切って比較すると、認知機能低下グループでは12時以降の日常歩行速度が低下していました(図2)。このことから、今回の研究の対象者においては、1日の中での日常歩行速度の変化をモニタリングすることで認知機能が低下しているかどうかを推定できる可能性があると考えられます。


【図2】1日の中での日常歩行速度の変化


■加齢歩数を計測、歩行安定性の新たな指標へ

通常の歩数計や活動量計は、おもに上下の動きを検知して歩数を計測するため、動きの少ないすり足や小股でゆっくりとした歩行など、高齢者に現れやすい不規則で不安定な歩行の歩数を計測することが困難でした。そこで、そのような歩行の歩数を「加齢歩数」として計測できるようにした歩行専用高感度活動量計を用いることで、加齢に伴う歩行安定性の変化を評価できるのではないかと考え、検証しました。

検証では、29~82歳の健常女性169名を対象に、上記の歩行専用高感度活動量計を1日10時間以上使用してもらい、収集した歩行データの中から1日の加齢歩数と歩数割合(※6)を用いて年代による差を比較しました。


その結果、加齢歩数はすべての年代の健常者の日常歩行で出現し、年齢とともに増加することがわかりました。また、歩数割合として見ることで、年齢とともに変化する(低下する)傾向がより顕著に現れることがわかりました。このことから、歩数割合をモニタリングすることで、加齢とともに低下する歩行安定性を評価できる新たな指標となることがわかりました。


※6 通常歩数に加齢歩数を加えた総歩数に対する通常歩数の割合


【図3】年代による1日の加齢歩数と歩数割合の変化


■まとめと今後

今回の研究により、日常歩行モニタリングが認知機能低下の推定や、歩行安定性の評価へと応用できる可能性があることがわかりました。これらの新しい知見を健康支援サービスのさらなる向上などへ応用するとともに、健康的な歩行を維持できるための研究開発も進められる予定です。


■詳細は以下の外部リンクをご覧ください。

https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2022/20220621-001/


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