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2022.06.20

【筑波大学】描画動作のAI自動解析により言語を使わずに認知機能低下を検出するツールを開発

アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症において、認知機能の低下を検出し、早期に診断を行うことは予防および治療のために重要です。

通常、認知機能低下の検出には専門家による認知機能検査が行われますが、世界的にはこのような検査に基づいて適切な診断・治療を受けられる人は限定的です。また、こうした検査はさまざまな言語に翻訳されて利用されているものの、その結果の妥当性に関する国際的な比較はあまり行われていないのが現状です。



このような背景のもと、筑波大学では新たな認知機能低下検出のためのツールを開発しました。このツールは、高齢者自身が気軽に実施できるだけでなく、言語を用いた回答を必要としないため、国や地域に関わらず利用できるのが特徴です。


■研究内容と成果

今回開発されたツールでは、高齢者がタブレット端末に描画したデータから、描画速度や静止時間、筆圧やペンの傾きを自動で分析し、AIを活用して認知機能低下の程度を推定します(図1)。


ツールを開発するにあたり、まず日本とアメリカにおいて、認知症の診断のない65歳以上の高齢者男女92人(※1)を対象とした研究を実施。認知機能検査と開発したツールによる描画タスクを行いました。そして、日本とアメリカの高齢者の認知機能を解析・比較した結果、認知機能の低下とともに描画速度のばらつきや静止時間の増加といった傾向が、両国に共通して認められました。この傾向は、年齢・性別・教育歴などを考慮しても統計的に有意であることが分かりました(図2A)。

そこで、アメリカの高齢者から収集したデータを用いて認知機能レベルの推定モデルを構築し、日本の高齢者の描画データに適用したところ、従来の推定モデル(※2)よりも高い精度で認知機能レベルを推定することに成功しました(図2B)。


※1 日本人37人、アメリカ人55人

※2 描画や音声といった行動データから認知機能のレベルを推定する


【図1】

AIによる認知機能自動推定ツールの仕組みおよび評価手法の概要。まず描画データから速度や静止時間、筆圧やペンの傾き等の特徴を抽出。次に、それらの特徴をもとに認知機能スコアを推定するAIモデルを作成。アメリカの高齢者のデータのみを用いてモデルを訓練し、日本の高齢者に対する推定精度を評価することでツールの国際的な利用可能性を検討した。


【図2】

データ解析結果の概要。(A)描画特徴(描画速度のばらつき)と認知機能レベル(Montreal Cognitive Assessmentスコア)の関係。実線は2ヶ国のデータ全体に対する回帰直線。rは年齢・性別・教育歴で調整された偏相関係数。(B)AIモデルによって推定された認知機能レベルと実際の認知機能レベルの関係。実線は回帰直線、R2は決定係数(パーミュテーション検定により統計的有意性を評価)。


■今後の展開

今回の研究により、在宅や介護予防教室などさまざまな環境で、タブレット端末を用いて手軽に認知機能の評価ができる可能性が示されました。言語に依存しない描画データを解析対象とすることで、国や地域に関わらず利用可能な認知機能の評価方法を示したのは、世界初となります。このようなツールは、世界的な問題である認知症の早期発見・早期介入対策の一助になると期待されています。


■詳細は以下の外部リンクをご覧ください。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20220602141500.html


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