高齢者は慢性疾患の治療薬を複数服用していることが多く、薬剤関連の有害事象に対する注意がとくに必要です。中でも、鎮静作用(※1)や抗コリン作用(※2)を有する薬剤は、フレイルと呼ばれる心身の虚弱化や転倒、認知機能低下を起こす危険があることが指摘されています。しかし、これらの薬剤の使用が実際に、高齢者の生活自立機能の低下と関連しているのか、日常の診療行為に基づく情報を用いての検証はなされていませんでした。
※1 鎮静作用
中枢神経抑制や筋弛緩作用
※2 抗コリン作用
自律神経の働きを調整するアセチルコリンの働きを阻害する作用