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2022.04.11

【東北大学】高齢者の体重減少リスク、誰かと食事をする機会が年に数回しかない場合は1.07倍高くなる

誰かと一緒に食事をする「共食」は、ヒトにとって基本的な社会活動の一つです。過去の研究から、共食の機会をもつことは健康状態の維持に有益である可能性が示唆されてきました。しかし、高齢者において死亡リスクの上昇と関係が深い「体重減少」との関連については、これまで明らかにされていませんでした。


このような状況の中、東北大学大学院歯学研究科では、要介護状態にない高齢者を対象とした3年間の追跡調査から、「共食の頻度」と「体重減少のリスク」との関連を明らかにする研究を行いました。

対象は、2016年および2019年に実施されたJAGES(※1)調査に参加した、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者56,919人で、2016年から2019年の間の「5%超の体重減少(※2)」があるかどうか追跡調査を実施。共食の頻度については、「毎日」「週に何度か」「月に何度か」「年に何度か」「ほとんどない」の5区分を用いて比較を行いました。分析では、性別や年齢をはじめとしたさまざまな要素の影響を取り除き(※3)、共食の頻度が「毎日」と比較したときの、それぞれの共食頻度の区分における相対的な体重減少のリスクを算出しました。


※ 1 JAGES

Japan Gerontological Evaluation Study; 日本老年学的評価研究

※ 2

5%超の体重減少は、栄養状態の悪化の指標の一つであり、過去の研究から死亡リスクの上昇と関連することが示されています。

※ 3

性別・年齢・教育歴・等価所得・婚姻状況・世帯人数・現在歯数・併存疾患(がん・脳卒中・糖尿病・認知症)・手段的日常 生活動作・認知機能・うつ・野菜果物の摂取頻度・肉魚の摂取頻度・友人と会う頻度・ベースライン時点でのBMIの影響を取り除いています。


その結果、対象者のうち3年間の追跡期間中に5%超体重が減少した人は15.1%。また、共食頻度ごとに5%体重が減少した人は、「毎日」が14.3%、「週に何度か」が14.8%、「月に何度か」が14.6%、「年に何度か」が16.2%、「ほとんどない」が19.0%でした。

また、他の要因を考慮して行った多変量解析の結果、共食頻度が「毎日」と比較したときに、5%超の体重減少のリスクは、「年に何度か」が約1.07倍、「ほとんどない」が約1.17倍と有意に高いことも分かりました。これらの結果から、共食頻度が「毎日」の群と比較したとき、「月に何度か」以上の頻度では有意な差が見られなかったものの、「年に何度か」以下の頻度では体重が減少のリスクが有意に高くなっていました。このことから、高齢者において月に複数回以上、共食の機会をもつことが体重減少の予防につながる可能性が示唆されました。

厚生労働省によると、高齢期の「やせ」は肥満よりも死亡率が高くなると言われており、65歳を過ぎて病気でもないのにやせてきたら、フレイル(※4)の可能性があると言われています。フレイルの特徴として、「体重減少」のほか「歩行速度の低下」「疲れやすい」「活動性の低下」「筋力の低下」があり、これら5つの特徴は互いに関連し合ってフレイルサイクルという悪循環を形成します。その結果、要介護や寝たきりの状態になる可能性があり、認知機能の低下や認知症発症のリスクを高める可能性もあります。


フレイル予防の心がけとしては、「栄養」「身体活動」「社会参加」がポイントになりますが、それに加えて「家族や友人と共食をすること」も挙げられています。楽しい食事の時間は食欲を増進させるといわれているので、家族や友人、地域の方と会話しながら食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。


※4 フレイル

要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する。「フレイル診療ガイド2018年版」(日本老年医学会/国立長寿医療研究センター、2018)

※参考資料

厚生労働省「食べて元気にフレイル予防」

https://www.mhlw.go.jp/content/000620854.pdf

国立長寿医療研究センター「フレイルの原因は?」

https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/07.html


■詳細は以下の外部リンクをご覧ください。

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220311_02web_eat.pdf


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