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2023.12.02

MCI(軽度認知障害)とは? 症状や認知症との違い、予防法を解説

自分自身や家族、友人で「最近もの忘れが多くなった気がする」といった状況に遭遇することはありませんか? 特にそのような状況が頻繁に起こると「認知症かもしれない」と不安を抱く方は多いでしょう。認知症でなくても似たような症状がある場合、MCI(軽度認知障害)の可能性があります。本記事では、MCI(軽度認知障害)の症状や認知症との違い、検査方法や対策について解説していきます。


目次
・MCI(軽度認知障害)とは
・MCI(軽度認知障害)の症状
・物忘れ・MCI・認知症の違い
・MCI(軽度認知障害)の原因として考えられること
・MCI(軽度認知障害)とアルツハイマー病の関係性
・MCI(軽度認知障害)の診断方法と検査
・MCI(軽度認知障害)が認知症に移行する可能性
・MCI(軽度認知障害)になりやすい人の特徴
・MCI(軽度認知障害)の治療法
・MCI(軽度認知障害)にならないための予防法
・まとめ


執筆者画像
【監修】医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長 伊藤たえ先生
脳神経外科、脳卒中専門医として、脳ドック、頭痛、認知症、頭部外傷、脳卒中などの診療に励む。患者様が安心でき、笑顔になれるよう丁寧な説明がモットー。

MCI(軽度認知障害)とは

MCI(Mild Cognitive Impairment)は、軽度認知障害といわれ、認知機能の低下が見られる認知症の一歩手前の状態を指します。日常生活に支障をきたすほどではないことから、症状を放置しやすいため注意が必要です。2012年時点の調査でMCIは65歳以上の4人に1人とみられ、年々増加していくと予測されています。MCIから認知症へ進行してしまう可能性もあるため、MCIを早期に発見し、適切な対応をいち早く行うことが大切になります。
出典:厚生労働省|認知症施策の総合的な推進について(参考資料)


MCI(軽度認知障害)の症状

MCIの症状は「記憶力」「判断力」「気分の変化」「時間や場所の認識」の大区分に関連して表れます。


記憶力

・同じ内容の会話を頻繁にするようになった
・家族の誕生日など重要度が高い話題でも忘れるようになった
・外出時の忘れ物が目立つようになった


判断力

・買い物の会計などで計算ミスが増えてきた

・車の運転ミスを起こすようになった

・ドラマなどを見てもストーリーが理解しづらくなった


気分の変化

・部屋に引きこもることが増えてきた

・些細なことで怒ることが増えた


時間や場所の認識

・近場でも道に迷うことが増えた

・美容室の予約日や病院の診察日を忘れることが増えた

・直前まで話をしていた人がわからなくなることがある

・今日の日付や今の時間がわからなくなることがある


上記のような症状がある場合は、MCIの可能性があります。加齢によるもの忘れだろうと断定せず、一度診察を受けてみるのがよいでしょう。


物忘れ・MCI・認知症の違い

MCIの症状が見られた場合、それが物忘れなのか、MCIなのか、認知症なのか、その違いをどのように判断すればよいのでしょうか。


基本的に、MCIと加齢によるもの忘れには明確な線引きはありません。もの忘れの頻度が高くなったり、火の取り扱いや車の運転方法など、危険が伴うもの忘れがある場合は、MCIの可能性を視野に入れましょう。そして、MCIと認知症の大きな違いは、「日常生活に支障をきたす状態かどうか」です。

具体的には、以下のような違いで比較されます。


記憶力

MCIの場合:食事の献立など一部を忘れる

認知症の場合:食事したこと自体を忘れる


判断力

MCIの場合:探しものを自分で見つけられるとは限らないが、自分で保管した等の自覚はある状態

認知症の場合:物を置いた場所の自覚がなく、探し物を見つけられなかったり、盗まれたなど他人のせいにしてしまう


認識

MCIの場合:もの忘れが増えたことを自覚していることが多い

認知症の場合:もの忘れがあっても自覚できていない


日常生活への支障

MCIの場合:なし

認知症の場合:あり


加齢による物忘れと認知症の違いについては、こちらの記事(加齢による物忘れと認知症の違いは)をご覧ください。


MCI(軽度認知障害)の原因として考えられること

MCIはアルツハイマー病にあるように、脳に起こる変化が主な原因だと考えられています。また、アルツハイマー病以外でも、MCIと似た症状を伴う以下のような原因もあるとされています。


• 脳血管障害
• レビー小体病
• うつ病
• 甲状腺機能低下症


上記のような病気を発症していた場合、自身の年齢に応じてMCIかどうかも診断しておくと早期発見につながるでしょう。


MCI(軽度認知障害)とアルツハイマー病の関係性

アルツハイマー病とは、脳の病気で記憶などの認知機能に障害がみられる症状のことを指します。認知症の原因で最も多いのがアルツハイマー病です。しかし、アルツハイマー病の具体的な原因は解明されていません。そのためアルツハイマー病と密接な関係があるといわれるMCIの状態を早期に発見して対応を行わなければ、高い確率で認知症へ移行する可能性があるといわれています。


MCI(軽度認知障害)の診断方法と検査

MCIの診断や検査は、主に精神科や脳神経内科などがある医療機関で実施されており、以下の検査によって判断されます。MCIの診断や検査は、主に精神科や脳神経内科などがある医療機関で実施されており、以下の検査によって判断されます。


• 日常生活における問診
• 簡易テスト(長谷川式簡易知能評価スケール)の実施
• 尿検査や血液検査などの身体検査
• MRI、CTによる脳の検査
• MCIスクリーニング検査


MCIスクリーニング検査は、MCIの早期発見を目的に行う血液検査です。保険適用外の自由診療となりますが、約80%の精度でMCIを判別することができます。診療の際は、Webサイトで検査に対応した医療機関を、住所などから探すことができます。認知症の7割近くがアルツハイマー型認知症のため、可能ならMRIやCT検査を行うことで、より早期発見の精度が高まります。
出典:厚生労働省|認知症施策の総合的な推進について(参考資料)


日にちと時間がわからない高齢者の男女

MCI(軽度認知障害)が認知症に移行する可能性

MCIから認知症には、年間で10%ほど移行するといわれています。MCIの症状における進行具合は人それぞれで違いがあるほか、対策によって進行を遅らせられる可能性があるため、認知症に移行する期間などは正確に判断できません。


MCIと診断された場合、認知症に移行する可能性に応じて、生活習慣や食事の改善、運動不足の解消といった対策を行うことが大切です。MCIを早く発見できるほど、認知症に移行するリスクを下げられます。


MCI(軽度認知障害)になりやすい人の特徴

MCIにかかりやすい方の特徴として、以下のような方が当てはまります。

1.高齢者

2.運動不足や肥満の人

3.基礎疾患を持っている人


ここからは、それぞれの特徴について詳しくみていきましょう。

1.高齢者

年齢を重ねることで認知機能や身体機能が低下していくため、MCIになる可能性が高くなります。2025年に65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を発症していることを想定すると、実際には50代にMCIの兆候がみえはじめる可能性も十分考えられるでしょう。まだ大丈夫と過信せず、少しでもMCIの症状かもと思ったら早めに検査を受けることが大切です。


2.運動不足や肥満の人

運動不足や肥満は認知機能の低下を招くといわれています。肥満の状態は、脂肪の蓄積によって代謝異常や動脈硬化などから脳血管障害を招き、MCIに発展する可能性が高くなります。
運動不足や肥満によって血糖値が高くなると、インスリンの作用が低下してアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβの分解を妨げるリスクが指摘されています。1日30分の有酸素運動をすることで、脳の血流が増加することがアメリカの研究で判明しました。脳の血流が増加すると認知機能の向上が見込めるため、MCIのリスクを減らせる可能性が高くなるといえます。


3.基礎疾患を持っている人

以下のようなMCIの症状と関連の高い基礎疾患を持っている方は、早い段階でMCIを疑ってみるといいでしょう。
• 糖尿病
• 高血圧
• 脳卒中
• 脳血管障害
• 甲状腺機能低下症

上記のような基礎疾患を持っていて、言動に疑いがある場合、定期診察と同時にMCIの検査も受けることをおすすめします。


MCI(軽度認知障害)の治療法

MCIの場合は、薬による治療よりも、生活習慣の見直しや認知機能の訓練による治療が行われます。主に以下のような方法が用いられます。


• 食生活の見直し:不飽和脂肪酸(DHA)やビタミンを摂るため魚・野菜・果物を増やす
• 運動不足の解消:有酸素運動で脳をはじめ全身の血流を高める
• 睡眠の見直し:リズムを見直して日光を浴び日中の活動を増やす
• 人と交流する機会を増やす:会話を増やすなど予定を組むことで脳に刺激を与える
• 認知機能の訓練:ゲームなどを通じて脳に刺激を与えて楽しみながら鍛える


認知症においても認知機能の訓練などを行いますが、症状に応じて薬を使う点がMCIと治療方法が異なるところです。


MCI(軽度認知障害)にならないための予防法

椅子に座って会話を楽しんでいる高齢者の男女

MCIの初期段階や予防したい場合は、以下の予防方法があります。


1. 健康的な生活習慣
2. 脳を刺激する活動
3. 心身をリラックス


ここからは、3つの方法について詳しくみていきましょう。

1.健康的な生活習慣

健康的な生活習慣を実現するためには、生活リズムを整えることに加えて食生活の見直しが大切です。できるだけ同じ時間に寝起きし、日光を浴びて日中の活動を増やすことで体内時計が整い自律神経が安定します。また、体内時計のリズムを安定させることで、記憶力の向上に期待できると研究によって発表されています。MCIに関する食事では以下のポイントを見直してみましょう。


• 魚介類  :不飽和脂肪酸(DHA)を摂取して血流をよくする
• 野菜・果物:鉄分・ビタミンを摂取して動脈硬化を防ぐ
• 緑茶   :カテキンによるコレステロールの抑制と血糖値の安定
• カレー  :スパイスやウコンの抗酸化作用


上記のポイントに加えて、和食の基本である「まごわやさしい」を意識して食事を整えていくといいでしょう。


• ま「豆類」
• ご「ごま」
• わ「わかめ(海藻類)」
• や「野菜」
• さ「魚」
• し「しいたけ(きのこ類)」
• い「いも」


1日のなかでできる限り取り入れていくよう心がければ、栄養バランスが整います。


2.脳を刺激する活動

脳を刺激することで、記憶力や判断力などの認知機能の維持、向上が見込めます。脳を刺激する活動として、以下のようなものがMCI予防で取り組まれています。


• シナプソロジー:2つのことを同時に行ったり、左右違う動きをしたりして脳を刺激
• 脳トレ    :見て・考えて・判断することをクイズやゲームを通して行う
• 音楽や絵画  :音を聞き分けたり、お題を表現したりするコミュニケーション


個人でできることに加えて、数人で行うことでコミュニケーションが図れます。コミュニケーションは、楽しいという感覚が生まれたり自己肯定感が高まったりする可能性があり、前向きになれるきっかけが作れるのでおすすめです。

3. 心身をリラックス

年齢を重ねると、抱えるストレスにも変化が生まれ、健康の問題などのストレスが多くなります。ストレスの解消に有効な方法は「人に話を聞いてもらうこと」です。家族間で話をする時間を増やしたり、友人と会う機会を増やしたりすることで、心が安定します。他にも、趣味や運動、入浴など人によってリラックスにつながるものは異なります。リラックスできる手段を多く持つことで、MCIだけでなく、うつ病対策にもなります。
出典:内閣府 平成8年度 高齢者の健康に関する意識調査の結果について 概要版

まとめ

MCIで大切なことは、症状について疑問に思ったら早めに検査を受けて早期発見に努めることです。少しでも早く対策することで、認知症に移行するリスクを下げられるだけでなく、改善できる場合があります。変化に気付くためには、家族や友人の協力も必要です。コミュニケーションの機会が増えれば、周囲から「MCIかもしれない」と気付かせてくれる場合があります。 また、MCIと診断されたら本人はひどく落ち込んでしまうかもしれません。しかし、改善できる可能性もあるため、心のケアを優先して、前向きにMCIと向き合えるように寄り添うことが大切です。

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