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2020.09.11

本人を信じて、尊重して、見守ってほしい【認知症とともに生きる ひとりひとりの声】

SOMPOひまわり生命保険株式会社では、実際に認知症や軽度認知障害の方々にお会いし、ひとりひとりの想いをまとめた冊子を作成しています。その中から今回ご紹介するのは、39歳の若さで認知症と診断された、丹野智文さん。認知症と診断されてからこれまでを振り返り、認知症当事者としての思いをお話しくださいました。


丹野 智文(たんの ともふみ)さん

自動車販売会社に在職。「この病気を恥ずかしいと思う必要はない。自分が話すことで認知症を知ってもらえたり、励まされる方がいれば嬉しい。」そんな想いを抱き、自身の体験を伝えるために全国各地で講演活動などを展開しています。


若年性認知症についての詳細は、以下の記事で紹介しています。

若年性認知症(若年性アルツハイマー)とは? 原因や症状、治療法を紹介


「認知症=終わり」ではない

2013年、39歳で若年性アルツハイマー型認知症 (以下、若年性認知症)と診断されました。インターネットで検索したら、「若年性認知症は進行が早く、2年で寝たきり、10年で亡くなる」と最悪のことばかり書かれていて絶望に押しつぶされそうになりました。


 当時は娘2人が小学生だったので、会社を辞めるわけにはいきませんでした。発症前は自動車のセールスをしていましたが、洗車の仕事でもいいから会社においてほしいと伝え、総務部に異動することになりました。

嬉しさ半分、不安が半分でしたね。


 そんななか、当時63歳で5年前に認知症を発症した竹内裕(たけうち ゆたか)さんに出会いました。


竹内さんはパワフルで元気そのもので、インターネットの情報ばかりを信じて先はないと思い詰めていた自分は一体何だったのだろうと呆然としました。

竹内さんとの出会いを通して、認知症発症から数年経っても笑顔で元気にいられると分かり、「認知症=終わり」ではないことに気づくことができました。


 そして、認知症専門医に誘われて、宮城県の認知症に関わるメンバー十数名と京都旅行をした際に、認知症になってからの経験談などの共有や、竹内さんとの出会いについて話しました。

その話を聞いたメンバーから「大切なことだから他の当事者にも伝えよう」と言われ、認知症当事者が当事者本人の相談に乗る活動「おれんじドア(ご本人のためのもの忘れ総合相談窓口)」を仙台で始めることになりました。



「おれんじドア」の活動

認知症と診断されたあとに家に引きこもってしまう方は少なくありません。

そうならないためには、不安を抱える当事者が、笑顔で今までどおりの生活を続けている当事者と出会うことが大切です。

元気な姿を見るだけで、自分もこうやって生きていけると思えるのです。

「認知症カフェ」のような当事者同士が交流する場所はたくさんあります。

「おれんじドア」は、その入口のようなもの。

引きこもっていた方や、家族に一言も喋らなかった方が、「おれんじドア」に来るとまるで喋らなかったことが嘘のように喋り出し、顔をほころばせて帰っていくのです。



病名ではなく、その人を見て

認知症と診断されると、すぐに介護という発想になる方が多いと思いますが、当事者が求めているのは、今までどおりの暮らしを続けることです。

私も症状はいろいろありますが、それは私の一部にすぎません。

多くの方は認知症という病名だけで当事者を見て、目の前の当事者を見ていません。

信じて、自立できるように接してほしいのです。

 

私の場合、体に症状はありませんが、記憶が抜け落ちることがあります。

だから工夫をしています。

職場では、ノートを2冊用意して、1冊には作業の内容やシステムなどの操作について細かく記録しています。

完璧なマニュアルができあがって、今では後輩から「ノートを貸してください」と言われます。

もう1冊には、毎月やるべき仕事内容を書き出し、終わった日付と誰に提出したかを書いて記憶を補給しています。

 

認知症であることをオープンにしているからこそ、 困ったときには助けを借りて、快適に仕事を続けられるのです。

私は、通勤も国内の移動もひとりです。ときどき、降りる場所がわからなくなることもあります。その時は、定期入れの中にある「私は若年性認知症本人です」と書いたカードを見せながら助けを求めると、ほとんどの場合、親切に対応してくれます。


そういう成功体験が自信に繋がっていくのです。

家族が心配して1人で行動させなければ、失敗はしないけれど、成功もしません。いかに成功体験を積み重ねるかが重要なのです。

 

認知症だけでなく、困っているときにはすべての方が助けてと言える社会になってほしいと思っています。

だからといって、過剰なお節介は困ります。手をかけられ過ぎると、自分でやろうという気持ちがなくなり、意欲がそがれてしまいます。子育てと同じようなものだと思っています。本人を信じて、本人の意思を尊重して、見守ってほしい。

そのためにも、病名だけではなくその人を見て、よく話し合う。僕自身もそうやって当事者と接しています。



SOMPOひまわり生命保険株式会社「認知症とともに生きるひとりひとりの声」より


【関連記事】若年性認知症当事者 丹野智文さんインタビュー「自分で決めて、自分で動く」ことが当事者や家族の笑顔に


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