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認知症に関する調査・研究

認知症の予防に有効なのは?~フィンランドの研究でわかったこと

昨今、様々な研究結果から、認知症の予防には健康的な生活習慣が有効であると考えられています。しかし、具体的にはどのようなことに気をつけたら良いのでしょうか。また、本当に予防に有効なのでしょうか。そんな疑問の答えの1つとして、生活習慣の改善が認知症予防に効果があることを示した、フィンランドの研究を紹介しましょう。

どんな研究? その成果は?


「高齢者の生活習慣への介入による、認知機能障害予防の研究(英語の頭文字を取ってFINGER STUDY)」は、2009年から2011年の2年間、行われました。被験者は60歳から77歳までの1260人で、認知機能が年齢相当、もしくは少し低めの人で構成されています。

被験者は、食事療法、運動、脳のトレーニング、血圧管理など様々なプログラムを2年にわたって受ける「生活習慣改善グループ」と、一般的な健康アドバイスだけを定期的に受ける「対照グループ」として、半数ずつに分けられました。実施期間に入る前と1年後、そして2年後のプログラム終了時に「認知機能テスト」を行い、結果を比較した研究です。研究の結果からは、「生活習慣改善グループ」のプログラム内容が、認知機能の低下を抑制した可能性が見えてきました。

生活習慣の見直しで認知機能低下のリスクが低減


以下のグラフは、プログラム期間前後に行われた認知機能テストの結果です。上にいくほど、機能が改善したことを示しています。

(図:Ngandu T, et al. Lancet. 2015 Jun 6;385(9984):2255-63 Fig.2を和訳)



実行機能と処理速度の結果を見ると、両グループ間で大きく差が出ています。実行機能とは、目的を果たすために、必要な情報を判断して計画を立て、それを効率的に実行する能力のことです。処理速度は、情報を受け取った時、反応したり実行に移したりするスピードのことです。

プログラム終了時の「生活習慣改善グループ」の結果は、「対照グループ」と比べて、実行機能が83%、処理速度は150%高くなっていました。さらに解析したところ、「対照グループ」は「生活改善グループ」よりも、約1.3倍、認知機能低下のリスクが高いことがわかりました。

以上の結果から、様々な側面からの生活習慣改善が、認知機能の低下を抑制する可能性が示されたのです。

効果のあった「生活習慣改善グループ」が行ったプログラムとは?



では、実際にどんな「生活習慣改善」を行ったのでしょうか。皆さんが日々の生活に取り入れることが可能なものもたくさんあります。ぜひ参考にしてください。

バランスの良い食生活〜食事療法


1:タンパク質は1日に摂取する総エネルギーの10〜20%
2:脂肪分は1日に摂取する総エネルギーの25〜35%。さらに以下の内容にも気をつける
・飽和脂肪酸およびトランス脂肪酸は10%以下
・一価不飽和脂肪酸は10%〜20%
・多価不飽和脂肪酸を5%〜10%(オメガ3脂肪酸を1日に2.5〜3g含める)
3:炭水化物は1日に摂取する総エネルギーの45%〜55%
4:食物繊維を1日に25〜30g摂取
5:塩分は1日5g以下
6:アルコールは1日に摂取する総エネルギーの5%まで
7:砂糖は1日50gまで
8:バターの代わりに植物性マーガリンや菜種油を使用
9:少なくとも1週間に2回魚を食べる
10:野菜や果物を豊富に取り、精製していない穀物、低脂肪牛乳、肉製品を積極的にとりいれる

定期的な運動


それぞれの体力や体調に合わせてプログラムが用意され、理学療法士の指導のもとで行いました。
・週1〜3回の筋肉トレーニング
(膝屈伸や腹筋、背筋などを含む)
・週2〜5回の有酸素運動。

脳のトレーニング


グループでの取り組み


年齢による記憶や認知機能の変化と、それを踏まえた日常生活での対応のしかたなどを学びました。さらに、コンピューターを使って学習進度の測定を行いました。

個人での取り組み


ワーキングメモリーやエピソード記憶、実行機能などの認知機能を鍛えることを目的に作られたプログラムを、各自が家でコンピューターを使って、1回に10〜15分、週に3回行いました。

その他


メタボ健診と血管リスク管理として、定期的に血圧や体重、BMIなどの身体測定を実施しました。

参考論文
A 2 year multidomain intervention of diet, exercise, cognitive training, and vascular risk monitoring versus control to prevent cognitive decline in at-risk elderly people (FINGER): a randomised controlled trial.
Ngandu T et al. Lancet. 2015 Jun 6;385(9984):2255-63. doi: 10.1016/S0140-6736(15)60461-5.


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