公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、介護初心者の悩みに応える記事「”つどい“は知恵の宝庫」をご紹介します。
今回は、お母さまの飲酒に悩む娘さんへ、医師など4名がアドバイスをします。
公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、介護初心者の悩みに応える記事「”つどい“は知恵の宝庫」をご紹介します。
今回は、お母さまの飲酒に悩む娘さんへ、医師など4名がアドバイスをします。
母の飲酒がとまらず、身体を壊さないか心配です
父の死後、86歳の母と二人暮らしです。昨年10月頃より言動がおかしくなり、検査 の結果軽度認知症と診断され、認知症の薬を飲み始めています。周囲の勧めで介護 認定を受け、要支援1になりました。しかし、デイサービスを勧めても嫌がり、介護サー ビスは利用していません。もともとお酒は飲まなかった母が、ビールや日本酒を飲む ようになり、私が仕事から帰ると立てないほど泥酔していることもあります。心配して 注意すると隠れて飲むようになりました。このままでは身体を壊さないか心配です。 (相談者:娘 50歳代)
世話人からのアドバイス
お母様の気持ちを聴く時間を持ちましょう
お母様のことが心配ですね。お酒は、身体のつらさや、孤独、寂しさ、不安などを紛らわせることのできる心の支えになっていることがあります。飲み過ぎていることを指摘して、お酒をやめるように説得するのではなく、背景にあるつらい気持ちに目を向けてみましょう。あなたが仕事に出ている間はどんな過ごし方をしているのか等お母様の話をゆっくり聴いてみましょう。心配でしょうが、お酒をやめることを無理強いせず、もうしばらく様子をみてはいかがですか。お母様と一緒に楽しいお酒を飲む時があってもいいのではないでしょうか。
医師からのアドバイス
かかりつけ医に現状を伝え相談しましょう
アルコール自体が酩酊状態を生じさせます。認知症薬の中には、眠気、めまい、ふらつきなどの副作用を起こすものもあるので、一緒に飲まない方が良いと思います。また、認知症薬の服用の有無にかかわらず、アルコールは認知症のリスクを高めるので節酒が望ましいです。かかりつけ医に現状を伝え、お母様の身体のことを相談しましょう。必要に応じてアルコール専門医療機関につなげてもらい、断酒効果のある抗酒薬を服用する等の治療方法も検討してみましょう。
介護経験者からのアドバイス
ノンアルコール飲料でお酒の量を減らす工夫をしましょう
私の義母は認知症になる前からお茶代わりに瓶ビールを飲むような暮らしをしていました。物忘れが目立ち始めた頃から、歩くときにふらつくほど飲み過ぎるようになりました。身体を壊すこともですが、転倒しないかと心配で、義母がいつも頼んでいる地域の酒屋さんにビールの注文の電話があったらノンアルコールのビールを配達してもらうようにお願いしました。今は見た目も味も本物そっくりな商品が多いので、義母は満足しています。地域の酒屋さんに状況を説明し、協力をお願いしてみましょう。半分だけノンアルコールにして、減酒していた方もいます。
地域包括支援センター職員からのアドバイス
お母様の相談相手をつくりましょう
お母様の飲酒が習慣化してきているようで、心配ですね。寂しさからお酒に逃げているのかもしれませんが、うつ病が隠れているかもしれないので、精神科の受診も検討してみましょう。要支援の認定を受けているので、サービス利用の有無にかかわらず、地域包括支援センターに現状を相談し、お母様の話をじっくり聞いてもらうため自宅を訪問してもらいましょう。地域の人との交流の再構築や趣味の習い事に出かける、新たな交流の輪を広げるためのデイサービス利用を再度勧めてみる等働きかけてもらいましょう。お母様がいい意味での刺激を受けて、お酒から遠のくことができるといいですね。
※この記事は『ぽ~れぽ~れ』(発行元:公益社団法人 認知症の人と家族の会)2023年4月号より一部抜粋したものです。
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