令和元年6月に認知症施策推進関係閣僚会議において、認知症施策推進大綱(※1)が取りまとめられました。その中で具体的な施策の一つとして「若年性認知症の人への支援」があります。若年性認知症の人の場合、就労や収入に関する問題がみられます。
今回は、若年性認知症の人への支援の一つであるジョブコーチ(職場適応援助者)についてご説明します。
令和元年6月に認知症施策推進関係閣僚会議において、認知症施策推進大綱(※1)が取りまとめられました。その中で具体的な施策の一つとして「若年性認知症の人への支援」があります。若年性認知症の人の場合、就労や収入に関する問題がみられます。
今回は、若年性認知症の人への支援の一つであるジョブコーチ(職場適応援助者)についてご説明します。
若年性認知症とは、65歳未満で発症した認知症のことを言います。働き盛り・家庭の中心的な役割を担う年代の人が認知症になることにより、収入の減少、経済的な負担や家庭内での役割の変更が余儀なくされます。
そのため、就労問題や子どもたちが家族の介護や家事を引き受けるヤングケアラーの問題、患者・家族の必要な知識・情報が得られる相談機関の整備などがまだまだ不十分なのが現状です。
若年性認知症の人の就労状況 (※2)として、退職が66.1%、解雇が7.7%、休職・休業が4.5%でした。
しかし、若年性認知症と診断されたとしても、いきなり仕事ができなくなるわけではありません。人それぞれ症状や進行が異なります。その人に適した仕事内容・程度を考慮し、配置転換などを行うことで仕事を継続することができる場合もあります。
若年性認知症の人は、「周りに迷惑をかけたくないから退職する」と考える人もいます。しかし、退職すると、収入も減り、家族への負担が大きくなります。
若年性認知症があっても、できることを継続するために、支援事業を活用する方法があります。
ジョブコーチ(職場適応援助者)(※3)とは、障害者が職場に適応できるよう、職場に出向いて直接指導を行う存在です。
ジョブコーチの役割は、障害者に対しては、業務の遂行能力やコミュニケーション能力の向上を支援したり、疲労のマネジメントなどの健康管理、職場内の人間関係構築に関する支援を行います。
一方、事業主や同僚などに対しては、職務や職場環境の改善を助言します。例えば、障害の理解をしてもらう、障害者との関り方、指導方法の助言などを行います。
そして、家族には安定した職業生活を送るための家族の関わり方などを行います。
若年性認知症では、精神障害者保険福祉手帳の交付が対象になる場合があります 。
若年性認知症と判断された方は、精神障害者保健福祉手帳の交付が対象となります。また、血管性認知症やレビー小体型認知症など身体症状がある原因疾患の場合は、身体障害者手帳の対象にもなります。
ただし、申請すれば必ず交付されるわけではありません。詳しくは、お住いの市町村役所の障害者を担当する窓口にご相談下さい(※4)。
今回は、若年性認知症の人が就労するための支援サービスについて説明しました。
若年性認知症があっても、働くことによって社会の一員としての役割を担うのは、生きがいにつながります。また、雇用者と若年性認知症の人、家族とを結ぶ役割がジョブコーチです。
就労にかかわるサポートを利用しようと思われる場合は、障害者就業・生活支援センターに相談をしましょう。(※5)
出典:(※1)厚生労働省.認知症施策推進大綱について(2020年2月6日アクセス)
(※2)認知症介護研究・研修大府センター.若年性認知症者の生活実態及び効果的な支援方法に関する調査研究事業報告書(2020年2月6日アクセス)
(※3)認知症介護研究・研修大府センター.若年性認知症支援コーディネーターのためのサポートブック~若年性認知症の人の「就労支援」・「居場所づくり支援」~(2020年2月6日アクセス)
(※4)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター.若年性認知症を発症した人のための就労継続のために(2020年2月6日アクセス)
(※5)厚生労働省.事業主が若年性認知症の方を雇用する上での支援サービスがあります(2020年2月6日アクセス)
認知症ねっと 2020年9月10日掲載「ジョブコーチ(職場適応援助者)の存在を知っていますか?」より
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