公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、介護初心者の悩みに応える記事「”つどい“は知恵の宝庫」をご紹介します。今回の内容は、夕方になるといるはずのない子ども(多分私のこと)を探している母について、同居している子供へ介護職員など5名がアドバイスをします。
公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する会報誌『ぽ~れぽ~れ』より、介護初心者の悩みに応える記事「”つどい“は知恵の宝庫」をご紹介します。今回の内容は、夕方になるといるはずのない子ども(多分私のこと)を探している母について、同居している子供へ介護職員など5名がアドバイスをします。
同居している92歳の母(介護保険未申請)は、夕方になるといるはずのない子ども(多分私のこと)を探して落ち着きません。帰りが遅いと言って近所の家を探し歩き、危ないから付き添うようにしていますが、頻繁なので困っています。理解してくれる家もありますが、苦情を言う家もあります。子どもはいないことをいくら説明しても理解してくれません。本人の親も生きているように話すこともあります。怒ったりしたらよくないと聞きますが、つい怒ってしまいます。どう対応したらいいでしょう。 (相談者:60歳代・娘)
義母は、子ども(夫)を探していても、60歳の息子が帰ってくるとパっと世界が変わって、現実に戻っていました。また、子どもはいとこの家に泊まっていると言うと納得することもありました。親が生きていると言う時は、義母の兄弟に電話で事実を言ってもらうと落ち着いていました。相手をする方が変わるとしっかりすることもあるようです。ご親戚やごきょうだいがいらっしゃればその力を借りましょう。
夕方落ち着かなくなる方は割合多いようです。私のグループホームでは、夕方ソワソワする前に、お茶の時間にしたり、気をまぎらすために洗濯物たたみや野菜の下ごしらえ等を手伝ってもらったり、介護用品のおしゃべりする人形の相手を頼んだりしています。お母様の場合、食事の準備など、まだ一緒にできることがあるのではないでしょうか。その時間帯に役割を持っていただくことなども考えてみてはどうでしょうか。
認知症の症状だと理解し、叱らないようにしようとしても、毎日付き合っている家族はイライラもするし、ストレスもたまってしまいます。要介護認定を申請し、お母様と離れる時間をつくるためにデイサービスの利用を考えてみましょう。お母様にも、同年代の方と昔話に花を咲かせたり、レクリエーションを楽しんだり、現在(いま)を生き生きと過ごしてもらうようにしましょう。
ご近所さんから苦情を言われ、お辛いですね。かといって、お母様の行動を制限すると却って混乱を大きくしてしまうことがあります。まずは、仲のいいご近所さんや民生委員さんにお母様の認知症の症状のことを話してわかってもらいましょう。ご近所さん同士のコミュニケーションを通じて理解してくれる人の輪が少しずつ広がっていくといいですね。
川崎幸クリニック院長杉山孝博先生は認知症の記憶障害の特徴として「記憶の逆行性喪失」(※)をあげています。これは、「記憶を過去にさかのぼって失っていき、最後に残った記憶の世界が本人にとって現在の世界となる」という特徴です。説明しても効果がないばかりか、混乱を深めるだけなので、その世界を認めて合わせることが対応のコツです。きっと、お母様はあなたを育てることに一生懸命だった一番輝いていた時代に戻っているのだと思いますよ。
(※)杉山先生がまとめた「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」の中の第1法則
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