シスメックス株式会社(兵庫県神戸市)とエーザイ株式会社(東京都文京区)は、2019年12月4日から7日まで米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された第12回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)において、両社が研究を進める、新たなアルツハイマー病診断法について発表しました。
両社が共同で開発を進めるのは、血液を用いたアルツハイマー病診断法に関する最新データとして、シスメックスのタンパク測定プラットフォームである全自動免疫測定装置HISCLシリーズを用いて測定した血漿中の脳由来アミロイドベータ(Aβ)から、脳内アミロイド病理を把握するものです。
アルツハイマー病は、病態生理学的には、神経細胞外へのAβ凝集体の蓄積が引き金になって、神経細胞内にタウ凝集体が蓄積し、その結果シナプス障害や神経細胞死に至る疾患と考えられます。
これらの脳内変化により、認知機能障害や精神症状・行動障害を引き起こします。つまり、認知機能障害が現れる前から脳中にAβが凝集・蓄積することが知られており、Aβを標的とする治療法では、早期診断、早期介入がより有効性を高めると考えられます。現在、脳内アミロイド凝集体の検出方法としてアミロイドPETと脳脊髄液(CSF)中のAβ1-42/Aβ1-40比が用いられていますが、アクセス面・費用面・身体面で当事者様への大きな負担となっています。
シスメックスとエーザイは2016年2月に、認知症領域に関する新たな診断薬創出に向けた非独占的包括契約を締結し、互いの技術・ナレッジを活用し、認知症の早期診断や治療法の選択、治療効果の定期的確認が可能な次世代診断薬の創出を目指してきました。
アルツハイマー病臨床試験会議では、両社が共同で開発している血液による簡便なアルツハイマー病診断法の創出として、HISCL(TM)シリーズを用いて測定した血漿中のAβ1-42/Aβ1-40比と、アミロイドPET判定結果の的中率を検証した結果から、血漿中のAβ1-42/Aβ1-40比から脳内アミロイド病理を把握できる可能性が示唆されたことに加え、HISCL(TM)測定系が血漿中のAβを正しくとらえていることを検証するための手法について発表しました。
(画像はイメージです)
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シスメックスとエーザイ、血液による簡便なアルツハイマー病診断法の創出に向けた学術報告
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