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2024.04.18

介護業界でも注目の「サルコペニア」!岡山大学の研究により舌の筋力との関連が判明

サルコペニアとは、もともとSarx(筋肉)と、Penia(減少)というギリシャ語を組み合わせた造語でした。現在は、加齢による筋力低下を指す疾患とされており、高齢者にも多いことから介護業界でも注目されています。


そんな「サルコペニア」ですが、このたび岡山大学の研究グループにより「口腔機能」の関連性を示唆する研究が発表され話題となっています。


サルコペニアとは

サルコペニアは、加齢による筋肉量の低下や、身体機能の低下を指す疾患です。もともと、筋肉量の低下を指す造語して知られていましたが、2016年10月に国際疾病分類へ「疾患」として新たに登録されました。


おもな原因は「加齢」「活動量の低下」などで、骨格筋量の低下は25~30歳頃からはじまり、生涯をとおして進行するといわれています。


【サルコペニアになる主な危険因子】

● 加齢

● 疾患

● 活動不足

● 栄養不足


サルコペニアになると筋力低下から、歩行速度の低下、着替え、トイレなどの日常生活動作にも影響を与えます。結果として、転倒や骨折などのリスクを高める危険な要因とされているのです。

実際に、「東京都健康長寿医療センター研究所」の研究でも、サルコペニアの有病率、関連因子、死亡・要介護化リスクの関連が示唆されており、サルコペニアになると死亡、要介護化のリスクが約2倍高まることがわかっています。


サルコペニアの予防方法は

サルコペニアの予防には、適切な栄養摂取が大切です。「サルコペニア診療ガイドライン」によると、1日に(適正体重)1kg当たり1.0g以上のたんぱく質摂取は、発症予防に有効な可能性があるとしています。


また、運動習慣および、豊富な身体活動量もサルコペニアの発症を予防する可能性があるとしており、いわゆる筋力トレーニングが有用と考えられています。

高齢者は、さまざまな疾患を持っているかたも多く、運動や食事に制限がある場合も少なくありません。必要に応じてかかりつけの医師や、専門の医療機関で生活上の指導を受けると良いでしょう。


この度、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の稲田さくら大学院生をはじめとした研究グループにより、サルコペニアと口腔機能に関連性を示唆する研究(※)が発表されました。


本研究により、自立した高齢者は、舌の筋力が強いと栄養状態が良好であり、サルコペニアのかたが少ないことがわかっています。


(※)本研究成果は、口腔衛生学会雑誌74巻1号(2024年1月発刊)に掲載

URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jdh/74/1/74_21/_article/-char/ja/


サルコペニアと口腔機能に関する研究の概要

本研究の発表のポイントは下記の3つです。


【3つのポイント】

● サルコペニアとは、加齢にともなう筋肉量の減少と筋力の低下を特徴とする症候群

● 今回の調査において、舌圧(※1)が弱い人は栄養状態が悪く、サルコペニアであることがわかった

● 舌の筋力を鍛えることで、サルコペニアを予防・改善できる可能性がある


この研究は、2022年10月から2023年6月の間に、岡山大学病院歯科・予防歯科部門を受診した60歳以上の一部の患者を対象に評価、統計解析を行なっています。

対象者に行った評価は下記の4つです。


①サルコペニア評価

サルコペニアの新診断基準を用いて「筋力」「身体機能」「骨格筋量」を評価


②口腔状態の評価

「口腔湿潤度(※2)」「舌圧」「咬合力(噛む力)」など、口腔機能に関する8つの機能を評価


③栄養状態の評価

アセスメントツールを用いて、食事量、体重減少の有無、BMIなどを評価


④人口統計学的特性,併存疾患および精神・心理状態の評価

年齢、性別、併存疾患,精神・心理状態、糖尿病気、呼吸器疾患の有無などを評価


これらの結果を解析することで、舌圧が弱いかたは栄養状態が悪く、サルコペニアとの関連性が高いことがわかっています。一方で、前述したとおり、自立した高齢者で舌の筋力が強いと栄養状態が良好であり、サルコペニアのかたが少ないことが明らかになりました。


つまり、舌の筋力を鍛えることで、サルコペニアを予防・改善できる可能性があることが示唆されたのです。


※1:舌が上あごに接触する力

※2:口の中の湿り具合や水分量


サルコペニアを予防するために口腔内を意識しよう


今回は、サルコペニアと、口腔機能の関連性を示唆する研究について紹介しました。

サルコペニアは、身体機能低下に関わる重要な要素です。日々の生活の見直しや、口腔内の健康に注意しながら生活しましょう。


なお、本記事はサルコペニアに関する研究の概要を一般のかた向けに簡単に解説したものです。内容を詳しく知りたい下記のURLより詳細をご覧ください。


論文情報

論文名:口腔状態とサルコペニアとの関連についての横断研究

掲載紙:口腔衛生学会雑誌74巻1号(2024年1月発刊)

著者:稲田さくら

URL:https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20240222-4.pdf


国立大学法人岡山大学:https://www.okayama-u.ac.jp/






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